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長雲 大古酒

先日の「がんこ焼酎屋 焼酎ヌーボー」はなかなか好評でしたので、さっそく次の蒸溜のものを買ってきました。本年11月10日蒸溜と、まだ2週間ほどしか経っていないせいか、あの蒸溜したてのタマゴ臭というか温泉の硫黄臭というか、あのガス臭さが漂ってきて、匂いだけを吸い込むとクラクラとしてしまいそうな、危険な香りです。飲んだときの刺激感も、この強烈さは先日の10月24日蒸溜のものに比べても、過去この何年かに飲んだ「がんこ・ヌーボー」の中でも、かなり強いように思います。42.6度。焼酎は蒸留してから最初の頃の味の変化が大きく、その後時間が経つにつれて、味の変化は反比例して少なくなっていきます。この「がんこヌーボー」もこれから徐々に味が変わっていきます。若い蒸留酒に独特の、粗悪なものとはまた別種の、ワイルドな若々しい刺激感を、今のうちに味わってみてください。

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長雲 大古酒_c0007525_20463543.jpgさて今日の本題。

・長雲 大古酒 1986年 34度

奄美大島龍郷町、奄美シマ唄の切ないラブソング「長雲節」にも歌われた長雲峠から名前を取ったという「長雲」が代表銘柄の山田酒造。黒麹仕込みの「龍宮」冨田酒造場と双璧をなす、白麹仕込みの山田酒造、私の中の奄美黒糖焼酎蔵元トップ2である。

通常の30度の「長雲」、13年ほどの古酒もブレンドされている「長雲40度」、黒糖の香り香ばしい「長雲一番橋」など、当店でも常に人気だが、ついにスゴイのが出た。20年物の古酒である。20年前後の黒糖焼酎古酒はこれまでの何年かの間にも何種類か出たし、中でも西平酒造の18年古酒「加那伝説 極(きわみ)」は既にもう幻だが、当店でもよく売れた(コストパフォーマンスもよかった!)古酒らしい素晴らしい味わいだった。

しかし、これは古酒は古酒でも「長雲」なのである。開封してすぐに漂ってくるのは、紛れもない長雲の香り。独特の甘い、白いクリームのような香り。色はほとんど透明だ。余計なカメ臭さもしないから、タンク熟成かビン熟成か、いずれにせよとてもキレイな熟成だ。無加水、熟成度数の34度は意外に度数の刺激を感じさせるが、この舌触りが驚くほどキメ細やか。お酒の中心を取り囲むように、シルクのヴェールが包み込む、粒子の細かい感触。こってりとした熟成酒のイメージとは違った、サラサラの透明感。それでいて、ハチミツのような深い甘味。長い余韻・・・。

寝てるだけで価値が増すなら僕も寝ていたい、とはY君の弁。新酒できたての「がんこヌーボー」とは対極をなす、両極端な焼酎のご紹介でした。
by barcanes | 2006-11-24 20:31 | お酒 | Comments(0)