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唯一無二のがんこヌーボー

唯一無二のがんこヌーボー_c0007525_2424850.jpgちょっと時期が外れてしまいましたが。

・がんこ焼酎屋 焼酎ヌーボー (42.3%)

鹿児島県阿久根市、「アクネ うまいネ 自然だネ」(キャップに記載)でおなじみ?の大石酒造。代表銘柄は「鶴見」だが、熟成原酒の「かまわぬ」、無調整の原酒「蔵純粋」など個性ある芋焼酎原酒をいろいろ出している大好きな蔵元だ。ジョイホワイトというお芋を使った「がんこ焼酎屋」にも25度の他に、35度の「兜釜式古式蒸留法」によるもの、そしてこの「ヌーボー」がある。無濾過無調整無加水無貯蔵、これがホントの「何も足さない何も引かない」のお酒だ。これほどまでに原酒の「ゲン」にこだわったお酒もめったにないだろう。

ワインの「ヌーボー」にかけた無貯蔵の新酒は近年、芋焼酎でもポピュラーになりつつあり、貯蔵の手間をかけなくても済むということで、低コストという経済的利益を狙った面もあるようだ。蒸留したて独特の玉子のような硫黄臭のする焼酎ヌーボーも他にあるが、無調整無加水の原酒はまずないと思う。当然このような硫黄臭のする無濾過の原酒など、臭くて決して旨いものではないと、地元の方々は言うのかもしれない。事実やはり、度数の高い原酒の類い、無濾過の臭いものはあまり地元では受けないらしく、東京の愛飲家が喜んでいるだけなのだそうだ。

しかし、そんな芋焼酎の世界の中で、燦然と輝く、唯一無二、きわもの中のきわもの、原酒の中の原酒、まさに「元酒」とでも呼びたくなるお酒が、この「がんこヌーボー」なのだ。残念ながら今年は買うタイミングを逃し、蒸留の日付が11月26日とあるため、この独特の強烈なタマゴ臭はおとなしくなってきてしまっている。この臭いは開栓しなくても時間とともに消えていってしまうものなのだ。毎年秋の楽しみであったので、今年はちょっと残念だった。

それでも、ほのかなタマゴ臭と、それと引き替えに明らかになってくる鋭い切れ味。硬く鋭利な口当たりは、まさに無貯蔵原酒ならではの若い辛さだ。粗悪なアルコールの辛みなどとは明らかに違う、熟成のまろやかな丸みなど大したものに思えないような、若さの強烈なパンチ。リンゴのようなしゃきしゃきしたフルーティーな甘味はこれから開くのを待ってしっかりと閉じている。舌がしびれるような尖った刺激の後にはフレッシュな青野菜のような芋の香りがスパイシーな熱い感覚とともに余韻として残ってくる。熟成の余韻とは違う、ドロッとした汗ではなく、運動の後のさらっとした汗のようなフレッシュな爽快感だ。このような爽快な余韻を残すお酒が他にあるだろうか!
by barcanes | 2006-01-17 02:02 | お酒 | Comments(0)