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2023年その9

3月一週目

朝10時にお店。春の日差しのいい陽気。ア君が既に来ている。久しぶりにお店づくり再開だ。コーヒーを淹れて、今日の作業手順の確認。今日はカウンター下の袖壁の、正面部分と内側部分の仕上げをやる。下地のベニア板のままだったカウンター下の袖壁の内側には、以前のお店のカウンター上にあった吊り壁に貼ってあった薄い化粧板をくぎ打ち機で張り、袖壁正面には新品のカポールのデッキ材を縦に2本ずつ並べて、ネジ穴を木栓(埋め木)でキレイに仕上げる。ダボとカポール材との色の違いが気になったが、オイルで着色したらいい感じになった。

私はその間、電光看板作りについてア君に相談し、アクリル板とカッティングシートを調べて、「中川ケミカル」の「ノックス/タフカル」のサンプルを請求してみた。ドアの内側にはロールカーテンを吊るせばいいんじゃないかな。それから、前のお店で長年使っていた、なかなか読み取ってくれなくなった初期型のCDJ(パイオニアのCDJ-100S)を持ってきたので、中を開けて4つある調整ネジをいじってみる。読み取りレーザーの強さとフォーカスを調整できるようなのだが、4つの十字ネジをどう動かせばどう変わるのかは不明。しかもネジはどこまで回しても回り続けてストップしてくれないので、どこがニュートラルだったかも分からなくなってしまう。最初レンズクリーナーのディスクが読み取れたのに、ネジを回し過ぎてしまったようだ。でもしばらくドライバーでグリグリ回しているうちに、突然また読み取れるようになった。まあよし。ア君が作業している間にブログを一本アップして、今日はここまでだねと、片付けている間に買い物へ。軽く夕飯を食べようよと、チリコンカン・スパゲッティーに芋の揚げ焼き乗せを作って二人で食べる。まずまず。料理の話になって、次の賄いはガンボを作ってみようか。

ビールを飲み始めて話す。前に話したマホガニーの代替材サペリの、さらに代替材がカポール(カンファーウッド)でホンジュラス産。南国系の木材は中南米のラムを扱うCane'sに合っているのではないかと。濃緑のペンキで塗った壁の色が決まってから、サンタモニカのとあるホテルのホームページを参照にしていたとのこと。様々な木の色、白、雑多なものが壁の色とうまく調和している。

今回木栓を使ったのは、いろいろ調べているうちに出会った、デンマークの教会を作った牧師建築家のことを知ったから。同じカポール材を使った、木栓の並んだベンチなど、安い木材で質素かつ神聖な作風がCane'sの精神に合っているのではないかと。仏師の木像を彫るかのような、一つ一つの木栓打ちにも心を込めるような、修行・奉仕にもつながる教会建築。手間はかけるけど時間は惜しまない。木栓のために片刃のノコギリも買った。作業の止まっていたこのしばらくの間に、ア君がそのようなことをいろいろ考えてくれていたというのが嬉しかった。

私のブログも読んでくれていたそうで、ゲンちゃんは毎日いろんなことをしているんだなあと言う。自転車で行ける範囲の小さな日常だけど不満はないし、日々少ない客人でも来てくれていろいろ話すということがあるから、ヒマでしょうがないってこともない。ヒマならブログを書いてるし。たくさんの来客をひたすらサバくだけで何も話さずに終わってしまうな仕事より、一日に一人でもじっくり話せた方が面白い。ブログが客人のイニシャルトークになってしまうのは嫌なので、誰が喋っているか、全部私が喋っているようでも客人が喋っているようでもよい。責任を回避している部分もあるけど、これはお店が、場所が喋っている。集合的な一人称。主語を省略できる日本語の特性を利用して、話者の分断分裂を深層で統合するような話法、書き方ができれば、私も自分なりの文体が持てるかもしれない。

なかなか連休も取れない、というよりカミさんの休みともなかなか合わないから旅行にも行かないけど、観光に出かけることも得意じゃない。旅は出かける人と迎える側と、両面が旅なのだから、待ち受けるのもまた旅なり。場所を持つ、本拠地を持つというのも、動き流れてきた先祖あるいは過去生の欲望なんだろうか、よく分からないけど、藤沢に行き着いた親たちがここに定着したいという思いを自分なりに引き留めたのかもしれない。ア君は出かけていくことが好きと言うけど、それもなぜかは分からない、人それぞれだよね。定点観測、定点で人を待つということの方が自分は好きになった。そのために場所を持ち、そこにコストをかけているわけだけど、それを損得で考えるのはつまらない。ノマドになるのも、売上に繋がらないかもしれない道具を持つのも、損得じゃなくて面白いと思わなきゃ。

道具の話、ノマドの話。場所も道具だね。ア君はもともと横浜万国橋の古いビルの一室に、家賃の安い事務所を持っていた。以前のお店の改装を手伝ってもらった20年前のある夜、その話をしたらある客人が「あんなところにボロいビルなんてウチしかねえぞ」と言った。貰った名刺を見せたら、客人の持っていた何かの証明書の本籍地と住所が一緒だった。ビル・オーナーは客人の母親で、ア君夫妻はその母親の経営する画廊の手伝いもしていた。その客人というのが私の学生時代の恩師で、母親から聞かされていた、手伝ってくれている若い人というのがなんと教え子のお店の手伝いもしてたわけだから、不思議な奇縁としか言いようがない。

その後そのビルも老朽化で立ち退きになり(そこも私と一緒だ)、今は横浜のシェア・オフィスに月に10日ほど(月30時間まで同料金)行っている。事務所はどこでもいいんだけどね。料理はしたいんだけど奥さんがやらせてくれない。キッチンや道具を使われるのが嫌だというのが自分でも分かるしね。旅行に行くぐらいなら焚き火がしたいね。神奈川県内はキャンプ場も面白くないし、庭の広い友達の家でやらせてもらうのが一番いいかもね。お店づくりがひと通り終わったら、余った木材などを燃やしに行きたいね。前のお店の壁板をたくさん取ってあるけど、おそらく使い切れないから最後は供養にね。イ君とみんなで打ち上げ的に焚き火したいね。

翌日の夕方、チャリで行けるホームセンターがリニューアルしてて、見たいと思ってたロールカーテンなどが無くなってた。アクリル板の小さな規格品を買ってみた。お店にはさっそく中川ケミカルのカタログが届いてた。「ウィークエンド・サンシャイン」はデヴィッド・クロスビー追悼特集を2回聴く。シャグ巻いてコーヒー淹れて7時。日報書き、昨日ア君と書ききれないぐらいいろいろ喋ったなあ。ロールスクリーンを調べて、それよりカーテンレールを天吊りで取り付けて、何かいい色の布をぶら下げた方が出入りがしやすいのではないかと気づいた。誰も来ない。昨日聴いた「ジャズ・トゥナイト」のデクスター・ゴードン特集。デクスター・ゴードンは若い時に(40年代)ライオネル・ハンプトン楽団、ルイ・アームストロング楽団などに参加、その後ビバップへ。で持っていたライオネル・ハンプトン30年代と50年代のレコードを聴く。昨日も料理の話をした、ガンボやレッド・ビーンズ&ライスなどを調べる。土曜なのにノーゲス。デヴィッド・リンドレーの訃報。1st「化けもの」と、よく聴いた2ndアルバム。CDはまだ店に持って来てないなあ。

日曜は妻が朝から仕事で、体調が悪いと帰ってきてすぐ横になる。実家に預けた娘を迎えに行く。少し買い物して、ビックカメラのおもちゃ売り場にあるゲームコーナーで、「アイカツ」のゲームを2回。アニメと実写の入り混じったテレビ番組とアーケード・ゲームが連動したアイドル活動というシリーズもので、「スイング」というカードのコレクション展開まであってお金を使わされるヤツだ。テレビ・シリーズはとっくに終わり、ゲームも3月中旬で終わるとのこと。今日で最後かもと、娘は少し名残惜しそうだった。以前にそのゲームコーナーで会ったという、大人買いしているおじさんにスイングをたくさん貰ったことがある。でももうスイングも要らない。スイングのコレクションはゲームじゃなくても楽しめる。見ててかわいいから。熱中していたものがいつか終わる、そういう経験が自分にもあった気がする。

夕飯を作ってから7時前に雨の中お店へ。リンドレーのCDが聴きたい。ブログ書きをして3時間。疲れた。銅鍋があるので、余った金柑でジャムを作ってみた。半分に切ってジューサーで潰して千切り。2度茹で捨てて、種をトングで取り、重さを測って半量の砂糖と絞り汁と水をヒタヒタに足して、弱火で煮詰める。意外とうまくできた。今日もノーゲス。土日に連続ノーゲスはお店を始めて20余年で初めてかも。1時に閉めて、それでも帰れず朝5時までウダウダしてた。週末に、誰とも喋らないとやはり寂しい。

妻は偏頭痛で病院へ、漢方薬など山ほど薬をもらってきた。肘だの股関節だの、以前からの腰痛だの目まいだの、年のせいかあちこちガタが来ている。自分が負担をかけているせいなのか、精神的なもののような気もして何も言えず。侍ジャパン阪神戦、最初だけ見る。7時お店。ジャパン戦は観ないことにして、ブログ書き。途中で疲れるけど、ヒマなので頑張って最後まで。3日連続のノーゲス。過去初めてかもしれない。でもお店を失った半年間ノーゲスだったのだから、大したことはない。今日からメジャーリーガー組を含めてフルメンバーの侍ジャパン×阪神戦の録画。ヤクルトの4選手みんな同時に出てた。大谷くんの膝折り&バットを折りながらの2連続3ラン6打点とMLB組で全8打点。確かに大谷君はレベルが違い過ぎて、むしろNPB組の野球する気を阻害するかもしれない。対戦した阪神投手たちにも稀有な経験だと思うし、村上君にも乗り越えていってほしい。ブログをアップして5時。1万字になってしまった。

朝9時前にアラームを鳴らしたつもりだったが忘れてた。お店を移転して必要になった防火管理責任者講習の申し込み、希望者が多いようであっという間に締め切ってしまい、秋から全く予約が取れなかった。まずい!と思った申し込み開始から20分後、間に合った。5月の藤沢市民会館。近くてよかった。年度替わりで空きが出るようになったのだろうか。夕飯の当番の日なので、練習がてらガンボを作ってみた。冷凍のオクラとエビを使って、チキンガンボ。小麦粉とオリーブオイルをきつね色になるまで炒めて、そのルーを入れるのは先か後か。レシピによって異なる。スパイスはクミン、タイム、コショウ、(タバスコの代わりに)酢、他にウスターソースなど。油っぽいかなと思ったけど、まずまずうまくできた。ルーを少なめに、オクラをもっと入れたい。6時、ヤクルト×ソフトバンクのオープン戦。7時から侍ジャパン×オリックス戦、アマゾンプライムのみの中継なので30日の無料期間を申込み、やっぱり見てしまった。ヤクルト戦は後で録画が見れるし。6番に下がった村上君にホームランが出た。途中で見るのやめて、頑張ってブログ書き2月一週目。今日もノーゲス4日連続。ヤクルト戦の録画を見て、シャグを巻いて、再度ブログを書いて朝5時まで。

もうすぐ小学6年生のはずの小さな娘をおんぶしたまま壁を登ったり降りたり、複雑な建物の中から出られなくなる夢を見た。妻にドアのところのカーテンと、看板の相談。中川ケミカルの色見本帳とアクリル板を渡してさっそくいろいろ考えてくれた。B6サイズのサンプルを何種類か頼んでみて、それから小売りのサイトで50センチ単位の切り売りを頼んでみよう。実家に行ってデヴィッド・リンドレーなどCD4箱分の段ボールを積んで、車で遠藤の茶来未へ。窓を開けてリンドレーやジャクソン・ブラウンを聴きながら、色づいた陽射しのドライブ。綾瀬のバカでかいホームセンター、ハンディへ。カーテンやロールスクリーンのコーナーを見る。ア君が言ってたカポール材を見つけた。買うものがなくて亀の子ダワシの中小2つだけ買って帰る夕暮れ。車を返してお店に7時過ぎ、遅れてしまったが誰も来ないのだから焦ることもない。ヤクルト×ソフトバンクのオープン戦。いつもとパターンを変えて、缶ビールを開けてみた。

客人が現れ、野球は途中でやめた。仕事の話をしばらく聞いてから、実は4日連続ノーゲスだったんだよねと打ち明けた。なんで黙ってるんですか。終電ぐらいで一度帰りかけて、なじみのメンバーがドアを開けた。「飲みすぎちゃうな」と4杯目のジンジャーエールを飲んでってくれた。お腹空いたという深夜の客人に芋の揚げ焼きを作り、もう一人、現れた客人は声がガラガラで「翼の折れたエンジェル」歌いそう。「私も一緒だよ」と、アレルギーで4日間声が出ず、誰とも話せず家に引きこもっていたという。「ラスティック」という音楽について。アイリッシュ・パンクなどを含む。ポーグスやスキッフルを聴いて朝4時ごろまで。早めに飲み始めたのですっかり酔っ払ってしまった。そんな一週間だった。

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by barcanes | 2023-05-02 00:41 | 日記 | Comments(0)