2/12(土) 『夜久一』、とこれまでの記録
2022年 02月 08日
今週末土曜日、夜久一のライブがあります。
おそらく当店48回目(レコーディング2日間を除く)の出演になります。
2/12(土) 『夜久一』
6pm- チャージ投げ銭
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これまでを振り返ってみまして、ヤク(夜久一)がこれまでCane'sに出演した記録を、確認できたものだけ書き出してみました。
☆2011年
12月 今西太一OA(オープニングアクト)
☆2012年
1月 きわわOA(オリジナル曲初披露)
6月 きわわOA
10月 "Voices Inside" SSW特集
☆2013年(8回)
2月 アノアとペロOA
2月 Cane's 12周年Potluckナイト
2月 w/ビト
5月 たじろっくOA
6月 Potluckナイト
6月 w/ビト
8月 w/AZUMI、ビト
12月 w/AZUMI
☆2014年
6月 w/AZUMI
☆2015年
6月 w/AZUMI
12月 w/AZUMI(1stアルバムレコ発)
☆2016年
2月 Cane's 15周年たじろっく
12月 ブラッククリスマス(ヤク改め夜久一)
☆2017年(5回)
1月 RIKUOバンドOA
6月 w/AZUMI
7月 ソロ(初ワンマン)
10月 ソロ
12月 ブラッククリスマス
☆2018年(7回)
1月 カウンターで唄う
3月 カウンターで唄う#2
5月 カウンターで唄う#3
6月 カウンターで唄う#4
9月 カウンターで唄う#5
10月 カウンターで唄う#6
12月 ブラッククリスマス
☆2019年(8回)
2月 カウンターで唄う#7
3月 ソロ(横で唄う)
5月 ソロ
7月 ソロ
9月 ソロ
10月 ソロ
11月 ソロ
12月 ソロ(ブラック夜久一クリスマス)
☆2020年(5回)
2月 ソロ
4月 + Chili-Con(沼直也dr, 田尻有太key)
6月 + Chili-Con, 宮下広輔(ペダルスチール)
8月 ソロ
12月 ソロ(後半+田尻有太pf)
☆2021年
1月 ソロ(夕方スタート)
3月 レコーディング2日間 +バンド
6月 ソロ
10月 +宮下広輔(ペダルスチール)
11月 『よだか』レコ発 +バンド
☆2022年
1月 ソロ(シルバートーンのみ)
2月 ソロ
3月 たじろっく(予定)
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憶えていないようなものも多いのだが(笑)、最多出演は2013年と2019年の年間8回。AZUMIさんを連れてきてくれるようになってから出演が少なくなったのは、あちこち旅に出ていたんだと思う。ひとりでもライブをやるようになったのは2017年からということだから、そんなに前のことじゃないのだなとあらためて気づいた。名前が変わって大きくなって戻ってきた、という感じかもしれない。魚か。
つい最近ふとヤクのブログを発見した。ぜんぜん気がつかなかった。ヤクのブログの内容は主にライブの告知で、2014年から始まっている。1ページ目からCane'sが登場してくる。旅のスケジュールがずらーっと、各地のお店の名前として並んでいる。それぞれの場所でどんなことがあったのか、ほぼ書かれていることはなくて、いいことがあったのか嫌なことがあったのかは分からない。
その並びの隙間隙間に「藤沢Bar Cane's」の文字が埋もれている。大阪と大久保のあいだに、高円寺と京都のあいだに。そうだ、あいつはスケジュールの隙間を埋めてたんだ。だからだいたい直前になって「空いてる日ありますか?」って聞いてきたんだな。
いつも集客できなくて、大した投げ銭も集まらず、せめてビールぐらいは飲んでけよって奢ってやった。お客を増やしてやりたい気持ちは勿論あったけど、いつも片手に足りないような人数で、あーじゃないこーじゃないってギターの音の出方を考えながら、いつも静かなライブで、そういう良さを楽しんてしまうようになってしまったところもあった。そしてひっそり、ヤクの歌声を聴いて一夜に一回ぐらいはメガネを外さなきゃならなくなったりもした。
いつも準備しながら「ゲンさん、ギターの音大丈夫すか?」って聞いてくるんだけど、ギターの音なんて別に気にしてないんだわオレは。(チューニングの狂いさえ、良さなのかもと思うようになってしまったところもあって、)お前がよければそれでいいんだわ。ヤクが気にしてるようなギターの微細な音の違いなんか、オレには分からないんだ。オレが気にしてたことかあるとすれば、ヤクが素直に歌ってくれることだったんだ。客がいるかいないかなんてことを気にしてしまうようなことじゃなくて、誰もいないような夜の闇に向かって、誰にも届かないけど、どこかに届いていくようなことだったんだ。近くに誰もいないからこそ、遠くに向かって叫んでくれればそれでよかったんだわ。自分では出すことのできない、でもホントはあんな風に深い声で叫びたい、そんなものを持ってるもんだからたぶん、ヤクは代弁者なんだよオレの、我々の。
だから僕はヤクの声に果てしないリバーブをかけて聴きたくなってしまう。反響は、もしかしたら返ってこないぐらい果てしなく遠くにあるのかもしれない。でもそれは、無反響ってことじゃないんだよオレのイメージとしては。
告知しても何を書いても、なかなかお客さん来てくれなかったね。そのうち直前まで時間も決めもしなくなったりして、でもそんなことをしてるうちになんだか何周りもして、当初ちゃんと書いていた(忘れてたけど)とおりにアルバムを作ることができた。アルバムの制作過程の最後のところで、デザインのチェックのついでに、校正がてらに音源を聴きながら歌詞カードを読んだ。ヤクの歌詞を文字で見たのは初めてのことで、ヤクはいい詞を書いてたんだなって感心したんだ。最近は飲み代を置いていくようになったばかりか、オレに奢ってくれたりもした。
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Cane'sのブログ上に残っていた、何を書いても集客効果のなかった、ヤクに関する告知文あるいは感想を抜粋してみました。「ヤクが売れるまでとことん付き合ってまいります」って書いてたのは、別に約束したわけではないんだわ。
2012年6月
「藤沢で話題沸騰中のヤクもいい歌を聞かせてくれるでしょう!」
2013年2月
「オープニング・アクトには可愛い顔して渋い歌声を聞かせるヤク君が参加してくれることになりました。」
「今月当店3度目のヤクは新しいカバー曲を披露。アラン・トゥーサン『サザン・ナイツ』と浅川マキの曲が良かった。今回のライブをセッティングしてくれ、気持ちのこもった演奏をしてくれ、今月はいろいろありがとね。」
5月
「トリをつとめたヤクも、このわずか2,3ヶ月の間の成長を感じさせるような逞しい歌いっぷりで、きっと見聞きしたいろいろなものからの影響をしっかりと自分のものにして、熱さとしてそれを表現できるようになったのではないだろうか。これで我々にはまた新しい目標ができた。ヤクのライブ録音をしてリリースするのだ。そのためのスタッフは揃っている。」
6月
「おなじみ我らのアイドル、ヤク。」
「ボーカルのリバーブもいい感じにできたので、ちょっと録ってみようと思って最後の一曲だけライン録音してみた。「ロンサム・スージー~リチャード・マニュエル』のメドレー。あとでみんなで聞いてみたが、なかなかいい感じに録れていたと思う。声に魅力のあるヤクの演奏は、音だけで聞くとまた違った表情があり、まだCDを作っていないヤクの録音をするのが我々に課せられた役目のような気がしている。」
12月
「そんなAZUMIさんの道を追うように、ヤクのギターを弾き歌う姿勢はいつの間にか変わっていた。語り口から間合いから着る物まで、先達を追うには見よう見まねで技を盗んでいくしかない。それでいいのだ。そうして彼もまた山脈を目指すのだ。この数ヶ月の間に、彼もどこかの町のはずれの十字路で魂を取り引きしたのかもしれない。なにを引き渡したんだい。凄みを増してたぜ。どこかで口が滑って『前座』なんて言っちゃったけど、それを取り返すだけの演奏をしてくれた。」
2014年6月
「ライ・クーダー風に改造したGrecoのストラトで、左に見えるマグナトーンのアンプのボヨボヨ・トレモロ・サウンドを聞かせてくれたヤク。でもせっかく持ってきたのに、エレキの曲を一曲しかやらなかった。何度か聴いたことのある曲も、節回しや歌詞の聞かせ方に工夫を凝らしていたのが印象に残った。彼の演奏を見るだけでも、弾き語りにはまだまだいろいろな手法、タッチやトーンのバリエーションや組合せ、アレンジなどの可能性があることが分かる。客を飽きさせない、退屈させない工夫というか。久しぶりに観たヤクはいろいろなもの、いろいろな人の影響を吸収して、随分とたくましく感じられた。 」
2015年6月
「アコギ弾き語り最高峰、AZUMIさんがまたやって来ます。『のろしレコード』で話題のヤクも久しぶりのCane'sです。」
2016年12月
「ブラック度の高い順に選出された豪華独身DJ陣に加えて、今年はさらに、イケメンなのにブラックな歌声でお先真っ暗ブルース街道まっしぐらの、ヤク改め『夜久一(やくはじめ)』さんをお迎えして、ロンリーなクリスマスをブラックに歌い上げていただきましょう。『はじめちゃーん!』と呼んであげてください。」
「出演のヤクa.k.a.はじめちゃんは、オーダーメイドの古谷ギターでの語り弾き。バイトも見つからない極貧ブルース街道まっしぐらの旅芸人生活を重ねて、ひと回りもふた回りも説得力を増したように感じました。どうしょもないうんちネタやおしっこネタからの、MCと歌とのギャップ萌えが彼の持ち味です。」
2017年1月
「お客さんが鼻先まで入っている中でひとりオープニング・アクトを務めるヤク(夜久一)をカウンターの中から宮下と一緒に見ていた。20分の持ち時間だというのに一曲ずつチューニングを変えるマイペースぶりに笑っちゃったんだけど、宮下はそのチューニングぶりに感心してた。『いや、カッコいいですよ。』」
「時計を気にするふりをしながら、結局40分もやりやがった。盛り上げもしない前座だけど、それはそれで温めたかもしれない。ちょっとした『異和』を突きつけてやればそれでいいんだ。ちょっと緊張してたらしいが、途中から開き直ったのかなんだか楽しそうにやってた。年末の『ブラッククリスマス』の時よりは良くなかったけど、それでも自分の世界をいろんな人に見てもらえたのは良かったと思う。久しぶりにヤクを見たという人たちも口々に、その確たる姿に感心してた。」
7月
「AZUMIさんとこないだ来たばっかりですけど、ヤクがまた来てくれます。前回より気軽に聞きに来てほしいそうです。のんびりやりましょう。
投げ銭の他に、食料でもいいんじゃないかなあ。こないだステージ後半で歌詞が飛んでしまったのは、栄養が足りてないからに違いない。ヤクに何か食べさせてやってー。」
「6月の終わりにAZUMIさんとの2マンでライブをやったばかりのヤクちゃんだが、うちも彼もちょうどスケジュールが空いてしまった週末だったので、急遽やることになった。縁のある二人。恋かも。もしかしたらヤクのワンマンは初めてかもしれない。まあのんびりやろうぜ、ということで、いつもライブの時は片付けちゃうソファをそのままにして、そのすぐ横、店のフロアのちょうど真ん中ほどで歌うことになった。」
10月
「本当の生き方。本物の歌。男が真っ当に生きるとしたら、ダメにならなきゃあかん。ダメにならなければ分からんことがあるで。
ダメ男の王道路線まっしぐら。オレたちの最後の砦、夜久一。『ストロングゼロ』を一本飲み干すたびに失われていくものと、そして得るもの。そんな歌を聞いてやろうじゃないか。でもCane'sではもう少しマシなものを飲んでいきなさいよ。」
12月
「ナメたグラサンしてテスコのエレキを弾いたヤクのライブも、もしかしたら今までで一番良かったかもしれない。演奏前にビール一杯飲ませといたのが良かったかな笑。」
2018年1月
「おそらく来客は5人ぐらいだろうということで、カウンターに端の席に座って歌うと言ってます。なのでタイトルは『夜久一、カウンターで唄う』です。
とは言ってもソファ席もテーブルもあるので、もちろん千客万来です。ぜひ聞きに来てください。写真はナメたグラサンしてますが、生きるか死ぬかのディープな歌ばかり歌っているので、そんぐらいがちょうどいいと思います。」
3月
「生きるか死ぬかの瀬戸際ヤクちゃん。オレには見えとるで。満場のお客さんが。ここには過去と未来のお客が来とるんや。だからキミは大声張り上げて歌っとるんやろ。遠くまで届くようにな。」
5月
「毎度おなじみ『暗い歌ばっかり歌ってるイケメン野郎』ことヤクちゃんオンステージ。Cane'sはヤクが売れるまでとことん付き合ってまいりますんで、みなさんもぜひご支援お願いします!」
6月
「10代の頃、地元の田んぼに向かって日頃のブルーズを大声でがなっていたという。彼の魂の中にはそんな積み重なったブルーズが溜まって発酵して、それが身体を響かせるような歌声となって発せられているのだろう。田んぼは、夜の飲み屋の向こうに広がっている。」
9月
「今年1月3月5月6月と続いてきた夜久一のカウンター・シリーズ第5弾。手拍子とか笑いとか歌わされたりとか、ポジティブとか感謝とか愛とか強要されないので、安心して声量あるギター弾き語りに聞き入ったり、歌を肴にお酒でも飲んだりしてください。イケメンなのに暗い歌しか歌わない、なんて言われますが、ちょっと暗いぐらいがいいと思うんです。と言うかそれが本当で、それが基本なんです。」
10月
「動詞"entertain"には『心に抱く』という意味もあるそうで、むしろこちらが元々の語意かもしれない。私の英和辞典には例文が載っていた。『He still entartains some hope of success. 彼はまだ成功の希望を持っている。』彼は胸の内にあるものをエンターテインしている。それは希望だけではなく、悲しみや挫折や叫ばずにはいられないような思いでもある。聞く者をエンターテインする前に、彼は歌わずにはいられない(自分の)心をエンターテインしているのだ。その中にはもちろん希望も含まれているだろう。
ならばこう言ってしまおう。人を喜ばせるものだけがエンターテイメントではない。悲しさや生きる辛さや挫折も、それを無理して喜びに還元するまでもなく、人を悲しませ何かを思い出させ落ち込ませ考え込ませるようなものさえも、歌い手や音楽家の心に抱いているものが、聞く者がいるということを媒介として、歌い手や音楽家自身をエンターテインしていることにおいてエンターテイメントたりうるのだ。
だからそこには聞く者が必要なのである。YesかNoか、アウトかセーフか、はっきりしたことは歌わないかもしれない。分かりにくいと言われるかもしれない。しかしそのような曖昧で(相対的ではないという意味で)絶対的に中間的な内容のものを、中間的な場所で、これまた絶対的に中間的な音楽として演奏されるものこそがエンターテイメントとなるのである。そう、聞いてくれる貴方さえいれば。」
2019年2月
「今や国内の若手随一と言われるディープな歌声をギター弾き語りで聞かせるヤクが、カウンターの端っこから見えない大観衆に向かって歌います。」
3月
「今をときめくヤク君のギター弾き語りライブです。髪型が可愛いことになってるという噂です。」
5月
「闇に向かって歌え!」
7月
「人類初の月面着陸から50年。静かなる真空の宇宙を超えて、ヤクの声は貴方の心の未踏の領域へと届くのか!」
9月
「最近はアコギとエレキと両方弾いています。人の歌をじっくり聞くということをさせてくれる歌をじっくりと歌いつつ、ギターで遊ぶ遊び心の自由なバランス感覚も感じさせてくれる最近のヤクです。」
「『のろしレコード』の仲間である折坂悠太君がめちゃくちゃブレイクしたっていうのに相変わらず売れる気配のないヤク。いつかCane’sに来れないようになる前に、みなさん聞きに来てくださいね。」
11月
「Cane'sでやっているライブもどのイベントも、お客さんの立場からすると全てが素晴らしいとは言えないでしょうから、私はこの場をエンターテイメントの場としてではなく、やはり〈実験の現場〉として捉えたいのです。
(私の意見としては)酒場は誰かに楽しませてもらう場所ではなく、自分で楽しみを見つけてもらう場であるからこそ、時にはグチを言ったり意見を交わしたりまたある時には議論をしたりできるわけですから、これはある意味、昼間の生活と相補的な〈人生の実験の場〉であると言えるかもしれません。私は音楽も同様に捉えたいのです。完成を目指す人にとってもそうでない人も、実験は永久です。酒場よ永遠なれ!」
「『のろしレコード』でPOPEYE誌にも取り上げられて、嵐の前の夜久一。」
12月
「Cane’sの『ブラッククリスマス』ウィークを締めくくるは、売れっ子折坂君と一緒に『のろしレコード』で各CDショップや各メディアに取り上げられたにも関わらず、自分のライブの集客には全く影響が出ない夜久一。今年も最もクリスマスの似合わない曲とギターでクリスマスの寂しさを歌い上げます。」
2020年4月
「さて明日4/17金曜日は通常通り『休業』いたしますが、なんかやるらしいんです。でもよく知らないんですー。」
12月
「激動かつ激静の2020年最後のライブは、夜久一(やくはじめ)です。コロナ禍にもめげずに地道に演奏を続けてきた、ヤクはよく頑張ったと思います。彼にとっても今年最後の締めのライブは、ここCane'sで。」