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熱狂ザディコ・キックス

8/21(日)

夕方、ライブの準備をしている時、新潟から2週間ぶりに帰ってきたなっちゃんが寄ってくれて、お店の入り口から真っ直ぐに駆け寄って抱っこしてきてくれた。ちょっと軽くなったような感じがした。お土産にターンテーブルの形をしたキーホルダーと、「おしごとがんばって」と書かれたクッキーをくれた。ばあばとじいじもなっちゃんに会いたくて、駅前に迎えに来たらしい。

リハしてあっという間に開場の7時前。Zydeco Kicksをライブ・ゲストに迎えた「Voices Inside」第102回は15分押しでDJから始まり、二見さん、関根さん、大野さんのレギュラー陣がまずは20分ずつ。バンドはリーダーでアコーディオン奏者の中林さんをセンターに、バックにはドラムを挟んでベースとギターがいて、二人とも適宜フィドルに持ち替えたりボーカルをとったりする。さらに両サイドには女性二人、トライアングルとラブボード(ウォッシュボード)を持ち替え、踊りながらバンドを盛り上げ、さらに前後入れ替わり横並びしながらコーラスをとったりして王様たるリーダーを支えている。リーダーはドラムとのアイコンタクトで不動のセンターラインを作り、その王権的両翼対称持ち替え入れ替え構造が非常に興味深かった。

さらに3つ目のラブボードが用意され、一曲毎に聴衆に交替で参加させる。そのジャカジャカした金属音は、大音量のバンドの中ではさほどリズムの正確性を求められないようで、自由に好きなように、二本のフォークで腕の疲れるまで貢献させておいて、バンドの演奏はそれに惑わされずに進んで行く。その献身あるいは乱心は、喧騒やノイズ、あるいはリズムの揺れとして作用することで、その中をくぐり抜けてバンドが突き進んでゆくようなキック力を増加させるし、何よりその場の盛り上がりに対する求心力として効力を発揮する。それはまさにファンクと呼ばずにはいられない。一人を巻き込むだけでそれ以上の人数分の効果を示す素晴らしい仕掛け、ファンキー・トラップである。

後日、この日の(ラフな)録音を耳にしたブラジリアン・ギタリストが、ブラジル北東部の音楽と一緒だねえ、と言っていたが、チンチン鳴っている金物の感じにはなにか汎古代的なお祭り音楽の要素もあるし、またアフロ的なものも感じられる。ザディコのケイジャンとの違いなどよく分からないのだが、カントリーに近いものもありながらどこかブラックな、アフロな感じを連想するのはやはりそのノイジーで雑多なファンク性のせいなのかもしれない。それは単なるルーツ・ミュージックではなく、そもそもルーツ音楽を単純なものと考えるのもおかしいのだが、ザディコとはかくもミクスチャーなダンス音楽だということに気づかされたのだった。

DJのゲストはハマのGENさん。ロックや和モノだけでなく、ザディコにまで造詣が深いとは恐れ入りました。私の好きなスライド・ギタリスト、サニー・ランドレスがザディコ・バンド出身ということを思い出させてくれました。ライブ後には78回転のコーナーもあり、全体としてはザディコだけでなく「ルイジアナ音楽」という括りでしたが、やはり若干レコード音楽がライブ音楽に霞んでしまった感は否めませんでした。それほどライブが素晴らしい、シンプルかつ熱狂的なパーティー・ミュージックであり、熱狂というしかない印象が残りました。素朴でシンプルな音楽構成だということは重要です。これに匹敵するものは各種のお祭り音楽と、そこまで王様強くないですけどフェラ・クティを思い出しました。3種類のアコーディオンのパワフルな音圧や、それにも増して強力なメンバー皆さんの掛け声に、パワーアンプが保つかと久しぶりに心配になったりしました。

イベント終了後に、ライブに間に合わなかったお客さんに録音をお聞かせしようとしたら、レコーダーの中でファイルがどっかいってしまいガッカリ。(翌日発見!)残り時間のデータ量の計算ミスで二見さんの語りも録れてなくて、デジタル機器は怖いなあと思いました。やはり生の音楽を生で聞くことには、何もかないません。

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お姐さんたちはザリガニ模様のエプロンをしています。

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主催二見潤 on ラブボード!

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王様の正装はエプロンです。

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アンコールに潤君再び!


by barcanes | 2016-08-30 07:37 | 日記 | Comments(0)