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新しいこと

自分も数年前にひどく落ち込んだことがあった。何か新しいことでも始めたいと思って、たまたま誘われたマラソンを始めた。おそらくなんでも良かったんだと思う。

今思い出したが、そういえばやったことのない格闘技なんかもいいかなと、空手でもやってみようかなと思った頃に、ちょうど空手をやってるというお客さんが来たことがあった。まさに自分の気持ちを見透かしたみたいにやってきたセールスマンのようだったから、警戒してしまったぐらいだったのを憶えてる。他に誰もいない店内で、雨も降っていた。

連絡先を教えてくれて、今度パンフレットかなにかを置いておくよ、と言われたが結局それっきりだった。もしその後にその人がまた来てくれて熱心に誘ってくれたりしたら、僕は空手をやってたのかもしれない。

自分の気持ちの持っていく先があやふやで宙ぶらりんなときって、自分の求めているようなものが何かのかたちをして現れる。まさに夢だったのかもしれない、というやつだ。それは天使か悪魔だかのささやきというやつなんだろう。

自分の夢の声を聞いて、夢分析をする。自分を誘いに来た手が何本か差しのべられている。どの手を取るのか。どの声の方に行くのか。とりあえず、話だけは聞こうじゃないか。

そして確かその後すぐの頃、僕は飲みに行った知り合いのバーでマラソンの話を聞いて、その日のうちにレースの申し込みをしてしまった。即決だった。その後の現状にいたる数々の出会いは、僕がマラソンを始めてなかったら縁がなかったものかもしれない。全てそこから始まったといっても過言ではない。

おそらく僕は、夢の声を聞いていたんだろう。それが実際に知り合いのバーのマスターの格好をして現れたんだろうと思う。

今思えば、それは精神療法だったんだと思う。なんでもよかったんだろうけど、やはり自分に合ったセラピーの方がいい。そう考えるとスポーツなんてのはみんなセラピーみたいなものなのかもしれない。身体を使って、頭も気持ちも使えるものがいい。

自分の気持ちの持っていく先があやふやで宙ぶらりんなとき、なにか自分の気持ちや意識を向けられるものがあるといいのだと思う。できたらそれが今までやったことのない新しいことだとなお良い。

問題はひどく落ち込んでから、なにか新しいことを始めてみようという気分になるまでだ。それには時間がかかるのかもしれないけど、そうしてそんな気分になれたら、それはチャンスなんだ。あやふやで宙ぶらりんとは「自由」の別名だ。夢の声とよく相談して、差しのべられた手のどれかをつかんでみれば、新しい縁と出会いが待ってるのさ。
by barcanes | 2013-04-01 02:56 | 日記 | Comments(0)