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ラジオながら聞き/藤沢歌謡会

第4回目の「藤沢歌謡会」は主宰カズマックスと浅見卓也、大野耕介の3氏が、年末時事放談といいことでフリートークしながら順番に曲を紹介していく、ラジオ・スタイルの体裁で進んでいった。それはまさにラジオを「ながら聞き」しながらグラスを傾け、談笑しつつ曲に耳を傾けたり、茶々を入れたりリクエストが飛んだりしながらも番組はしっかりと勝手に進行してゆくという、お茶の間生ラジオな感じであった。

ライブ・イベントとは違ってずっとお客と対峙する必要はないし、DJイベントなどとは違ってひたすら音楽が途切れなく続いていくわけでもない。面白いところ、聞きたいところは聞いて、あとは流し聞きで構わないという肩肘張らない雰囲気が、多すぎない適度な人数のお客さんと相まって和やかな時間が流れていった。

次回は1月後半に、ビッグ・ゲストをお招きして日本の歌謡界の裏側にも迫る内容になるそうですので、楽しみです。

終演後も残った同業で同世代のお客と中学高校の頃好きだった懐かしいレコードを聞いてしまい、恥ずかしながら少々心が震えてしまったのだった。飲み屋のオヤジが出てきたり、飲んで回り道したり、しこたま吐いたり、そんなことを歌ってたのを好きだったりしたから、僕らもいつの間にか気づいたらこの道に入ってしまっていたのかもしれない、と思えなくもないわけです。

「生きてることが 不思議なくらいに
女も友達も みんなトンヅラ
どっぷりどん底 オイラすっからぴん
這いつくばったら 足の裏が見えた・・・」
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by barcanes | 2013-11-30 21:36 | 日記 | Trackback | Comments(0)

11月のイベント予定

11月もみなさまの生活に変化や刺激や彩りを与え、みなさまの世界を変えるかもしれない音楽イベントが目白押しです。そんなことで世界はなにも変わりはしないかもしれませんが、それでもそんなこと求めていない方には普段の生活では得られない楽しさを、こんな街の片隅でも模索しております。ちょっとした思い切りを持って貴重な時間を割いていただき、ぜひ味のあるイベントを覗きに来てください!

11/3(日)「今西太一(from関西)ライブ」
Opening Act:近田心平

19:30 open / 20:00 start
当日¥2000/予約¥1500

花丸印の今西太一ライブ!今年だけで5回目!関西からまたもやって来ます。まだ見たことない方はぜひ一度体験してください。

泣き笑い、熱くそしてちょとテキトー。自分が大好きだからあなたも好きになれる。それがロックンロール。弾き語りです。誰もが元気になれます。酒に酔って野次と罵声と奇声ぐらいがちょうどいい。

前座はタイチ大好き近田心平。みなさま、お待ちしています。

奇跡のオッサン 今西太一
http://i-taichi.com/
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11/9(土)
「丸小野智子 二胡ライブ」

18:30開場 19:00開演
前売り¥2000/当日¥2500

【出演】ピアノ:斉藤広哉、パーカッション:久田祐三
ゲスト:小沼恭子(ランベリーズ)

12月にも当店でライブをやる「クブクリン」の斉藤さんからのつながりで、当店初めての中国の弦楽器「二胡」のライブ。「胡弓」としても知られる楽器です。どんなライブになるか楽しみです。
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11/10(日)
「画家とBGM ワンマンLive! "The Pallet of music #orange"」
DJ : eskm

18:30open & DJ time / 19:30 start
チャージ:投げ銭

今夏に続いて二度目の「ガカビジ」。未来の巨匠みずこしふみがリード・シンガーの位置で一枚のキャンバスに向かい、ライブの間に絵を描きあげていくインスト・バンド。ギター大橋君とベースえなり君は「太陽ぬ荘スタジオ」のスタッフとしてもおなじみ。あとバンド・メンバーは、ドラムとパーカッション。もっと大人数になることもあるらしい。DJはスクラッチも上手いeskm君。

みずこしふみHP
http://www.ekakimizukoshi.com/
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11/12(火)
「クマガイマコト(from新潟)/近田心平」
DJ:宮井章裕(Sandfish Records)

19:30 open / 20:00 start 
チャージ:投げ銭

昨冬に続きまたやってくるのは新潟のシンガーソングライター、クマガイマコト。飄々として、だけど人が好き。お洒落なのにどこか泥臭い。サボってるようで働き者。めんどくさそで熱い男。真っ直ぐなのになぜかヒネクレてる。夏は蒸し暑く冬はクソ寒い土地柄を体現したかのようなそんな表裏一体の人間力で、他の街の人々をも結びつける。藤沢にもそんな人たちがいるんじゃないのかい。コーヒーとシナモンロールで今日も生き抜いている彼の、新潟の「我々」の歌を聴こう。

この夏には新潟、山形でクマガイさんにライブの面倒を見てもらった近田心平がそのご恩返しに、明日をも知らぬ決死の演奏を見せてくれるはず。そしてDJでは藤沢のSSW専門レーベルの宮井さんが迎えます。

クマガイマコトBlog
http://blog.livedoor.jp/kumagaimakoto1972/
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11/13(水)
「Tim Scanlan & Toshibodhran "Come n take a look"リリースツアー」
ゲスト:清野美土(harmonica)

19:00open/20:00start
予約2000円/当日2500円

アイリッシュ・グループ「John John Festival」のパーカッション奏者トシ・バウロンはこれまでアイリッシュ音楽以外にもハンマー・ダルシマー、馬頭琴など数々のミュージシャンを連れてライブをやってくれた。彼が持ち込んでくれた次の企画は、オーストラリアのバスキング・ミュージシャン、ティム・スカンラン。アコースティック・ギターにハーモニカでアイリッシュのメロディーを吹き、足でカホンのキック、ハイハット、そしてタップも踏むというワンマンバンド。これは見物です。

そこにトシさんのバウロンが絡みます。バウロンはアイリッシュ音楽で使う音程変化の可能な太鼓なのですが、トシさんの演奏はこの音程変化がヤバいです。パーカッションに興味ある方にはぜひ見ていただきたいですね。ゲストはヨーロッパのケルト系フェスでも最高の評価を受けた「ハーモニカ・クリームズ」の清野美土さん。ブルーズとアイリッシュを組み合わせたような洗練かつディープなハーモニカのスタイルは、これまた一聴の価値あり。見もの聞きもの来る価値ありの、大注目のイベントです。

トシバウロンNews リリース・ツアーのページ
http://www.t-bodhran.com/tim-scanlan-japan-tour-2013/

ハーモニカクリームズ Official Web Site
http://harmonicacreams.com/
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11/16(土)
「Voices Inside vol.69 マッスル・ショールズ大特集!」
Disc Jockey:二見潤 with 関根雅晴
Special Guests:鈴木啓志、文屋章

19:00 start(いつもより早いスタートです。) No Charge

いよいよ、お待ちかねの「マッスル・ショールズ大特集」。特別ゲストの鈴木啓志さんを迎え、いつもより早い7時から始めますのでご留意を。ソウル評論家の第一人者である鈴木さんは、サザン・ソウルの中心地であるアラバマ州マッスル・ショールズをテーマにした問題の書「ゴースト・ミュージシャン」(DU BOOKS)を出したばかりで、その世界では論争を巻き起こすほどの渾身の作品。その火種の熱いうちに当店に来てもらえることなり、店主は興奮しております。

そしてもう一人のゲストは「ニュー・オーリンズ・ミュージック・ガイド・ブック」(P-Vine Books)監修者で音楽ライターの文屋章さん。この「ダブル・ダイナマイト」をホスト二見潤と「顧問」関根雅晴さんが迎え撃ちます。相当にディープな夜になること間違いなし。藤沢にサザン・ソウルの熱い波がやってきます。どうぞお見逃し、お聞き逃しなく!

11/19(火)
「ひらがなふぇすてぃばる」
しゅつえん:「きわわ」、「あしのなかゆび」

かいじょう:しちじ/かいえん: はちじ
まえうり:にせんごひゃくえん/とうじつ:さんぜんえん

6月にミニアルバムを出し「フジロック」にも出演した「きわわ」が約一年ぶりに登場します。小野一穂(g,vo)、genkosai(dr)、宮下広輔(pedal steel)という各方面で活躍中の今や説明不要の3人。ちなみにきわわのCD「わいきき」のジャケットには、うちの純子の切り絵が使われております。

共演はこれまたひらがなバンドの「あしのなかゆび」。こちらのメンバーもおなじみのボーカル岡崎恵美、ペダルスチール宮下広輔を筆頭に錚々たる顔ぶれです。バンド構成は流動的ということですが今回は5人編成。ジャズ・シーンで活躍中のトオイダイスケ(b)、何度かDJもやってもらったことのある酒井匠a.k.a.案外(g)、ドラムの横山祐介はwacciというバンドでメジャーデビュー。曲がハウス・シチューのCMで使われているそうです。

もはや日本のポップシーンを作り上げつつある彼らの、勢いある音を聞いてください。

きわわ Offisial Web
http://kiwawa3.jugem.jp/

wacci Official Web Site
http://wacci.jp/

あしのなかゆび Official Web Site(更新止まってます。)
http://www.ashinonakayubi.net/
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11/30(土)
「第四回藤沢歌謡会」
【出演】浅見卓也、バタンQ、大野耕介、かずまっくす、他(飛び入り歓迎)

20時~24時 No Charge
ちょっと早い忘年会気分をあなたと共に。

藤沢の音楽通のみなさんにもガキの頃があった。テレビやラジオから聞こえてくる昭和の歌謡曲で育った各メンバーが、それぞれのテーマに沿った選曲を施しつつ、その青臭い記憶や黒い情念や熱い深読み、積もり積もったウンチクや無駄な知識を、短めに語ります。ラジオ形式で短めにテンポ良くね。

以上です。ぜひご参加ください。よろしくお願いします!
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by barcanes | 2013-11-30 20:53 | イベント | Trackback | Comments(0)

インサイド/アウトサイド、正義とダメ男

人造人間と人間の間で悩むXライダー。正義は両側に両足を突っ込みながら、内と外の間で悩む。ダメ男にもインサイドのダメ男とアウトサイドのダメ男がいて、ダメ男の中のダメ男とはその両サイドの間で悩むことによってダメになるダメ男ということになる。

ダメな後輩を心配してフォローするダメ兄貴は、彼にとっての正義が、いくら説明しても後輩には通じない。しかし後輩はその愛を感じている。後輩にとってはその愛が正義であるかもしれないが、それはいとも簡単に裏切られるであろう。それはインサイドの正義である。

しかしダメ兄貴はダメであることによってアウトサイドに出て、そこからインサイドのダメ後輩をフォローする。それこそが正義の行使ではないのか。やはりヒーローは外からやってくるので、アウトに出なければ正義は行使できない。

こうしてこの数年、我々が模索してきた「ダメ男」の意味が明らかになってくる。それはインサイドのダメ男ではない。インサイドの人間は、結局なにか内側のものに守られていて、それに依存することによってダメになっていく。アウトするにもアウトしきれず、かといってインサイドの責任も果たせないことの葛藤があり、つまりはインサイドのちっぽけなプライドを捨て切れないのだ。

しかし我々はそう簡単には完全にアウトできないので、やはりなにかに守られ、なにかに依存して生きている。そしてそのことで、つまりアウトしてるつもりだけどインサイドを気にかけてしまうことで、アウトしきれないダメ男となる。インサイドを振り切れず、見捨てられず、ついフォローしてしまう。それだ。それこそが正義なのだ。なぜ。利益なしに。インがなければアウトがないとでも言うように。身銭を切ってまでお節介をしてしまう。

例えば、卑怯なことをしないという武士道があるとすれば、それは卑怯なことをしてでも生きようとする者を一線を引いて区別する。区別した外側の者には容赦ない一撃を食らわす。身内を守るために余所者を犯す者もいれば、素人には手を出さず同じムジナの玄人だけに手を出す者もいる。それらはインサイドはインサイド、アウトサイドはアウトサイドの正義なのだ。真の正義があるとすれば、その線を越えなければならない。区別と差別を越えていかなければならないのだ。しかしそういう正義は分別不能に陥るため、見落とされがちである。だから分別不能こそ、「なんでこの人が?」ということにこそ、ヒーローの資質があるのではないだろうか。
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by barcanes | 2013-11-27 01:42 | 日記 | Trackback | Comments(0)

他人と出会う

バーというのは他人と出会う場所である。家族とも職場の仲間、同級生や昔の友達とも違う。趣味の仲間や旅の途上で袖振り合った人のような、そんなアカの他人と出会うことってなかなかないのかもしれない。あるいは友人だってもともとはアカの他人で、家族だって他人だったのかもしれない。そう考えれば、酒場で出会う人もアカの他人でありながら何かの縁を持って出会う人だったのかもしれない。

僕はね、酒場に通うようになって初めて一人前になれたんだよ。いろんなことを教わったんだ。酒場は社会で家族なんだよ。

日々の買い物や飲食店で商品とお金をやり取りする、商売の関係ではあるかもしれない。しかしそのやり取りの中からはみ出て、違うものをやり取りすることになる。他人であるから社会であり、でも友人にもなり、しかし家族のような親愛が生まれる。私にとってお客さんたちはその全てであり、実際、家族と昔の友人を除けば、他人のはずのお客さんたちが友人であり家族の全てである。

私にとっても、酒場をやるようになって初めて一人前になれたのであり、いろんなことを教わったのはそこでしかないのだろう。酒場は私の社会であり家族なのだ。

それは他人と出会う場所だからなのだろう。他人と出会わなければ、分からないことがたくさんある。いや分からないことだらけだ。ただ分かるためだったら、他人に出会わない方がいいのかもしれない。人に会うほど分からなくなるのかもしれない。家族のことだって何も分かっちゃいないのだ。他人と会えば、なにも分かっちゃいないということが分かる。それだ。そのために酒を飲むのだ。飲みに出るのだ。
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by barcanes | 2013-11-26 01:40 | 日記 | Trackback | Comments(0)

若手の気持ち

知り合いからの紹介で、今度ライブをやってみようということになった若手バンド。ジャズ・ファンクをやる学生4人がやって来た。オリジナル曲の他にカバーをしてるというブラン・ニュー・ヘヴィーズやアベレイジ・ホワイト・バンド、RHファクターなどのアナログ盤あるよ、と言ったら喜んで聞いていってくれた。僕も若いときに好きだったような音楽を、若い彼らがどんな音で演奏するのだろうか。楽しみだ。

研究職の客人は職場の若手を連れてきてくれた。父親ほど歳の離れた常連仲間と話すのもよい飲み屋体験だろう。家族でも職場でもなく、赤の他人の大人と話すということは、若いときには意外に大きなインパクトを残すものだと思うからだ。

職場でヤラカしてしまってクビになった若手を誘い出して、余計な話をせずにただ一緒に飲もうっていうアニキ。待ち合わせに現れた若手は、もしかしたら職場の人間が複数で待ち構えてるんじゃないかと、そしたら逃げて帰ろうと思ってたと言った。ただ心配で、電話に出てくれて、一緒に飲んでくれてありがとうな、と言うアニキの気持ちを聞いてうなだれていた。

僕もいろんな若手の気持ちになった一夜だった。僕にも彼らのような頃があったはずだ。彼らよりダメだっただろうし、マシだったかもしれない。足し引きして割ってみれば、同じようなものだったろうと思う。
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by barcanes | 2013-11-22 01:26 | 日記 | Trackback | Comments(0)

きわわとあしのなかゆび/ひらがなふぇすてぃばる

いきなりお金の話でなんだが、今回は当日3000円/予約2500円という当店としては高額な料金設定だったから、私としては少々ビビっていたのだ。それでも多くのお客さんが詰めかけてくれた。特に両バンドに出ずっぱりの宮下広輔は確実にファンを増やしていて、ファンの皆さまにはペダルスチールの音を間近で堪能してもらえたのではないだろうか。

小野一穂、コサイゲンキ、宮下広輔の3人組の「きわわ」は昨年6月以来の当店ライブ。この夏にはCDも出してフジロックにも出演したが、メンバー各自の活動も多忙で「きわわ」のライブはそう多くはない。それでも今年出したCDのジャケットにヨメの純子の切り絵を使ってくれた縁もあって、当店に来てくれることになった。

競演の「あしのなかゆび」は、moqmoqとして弾き語りをやっている岡崎恵美がリード・ボーカルのバンド。バンドで歌う恵美ちゃんは歌声はいつもより可愛らしく、余裕を感じた。ハンドマイクで自由に歌う恵美ちゃんをずっと見たかったのである。メンバーはもともと同じ大学の仲間であり、各方面で活躍中のためこちらもライブをする機会は少ない。実は私もこのバンドを見るのは初めてだった。

2009年にCDを出した頃だったか、彼らとその仲間たちがうちに来るようになった。ドラムの横山君はwacciとしてデビューしてそれ以来だし、ベースのトオイ君も久しぶりだった。歌謡曲などにも造詣の深いギターの案外君にはDJをやってもらったこともある。リーダーの彼が作る曲はなかなかに趣向を凝らしたキレイな曲だったり、はたまた諧謔味のある笑える歌だったりする。

その中でも特に恵美ちゃんと宮下は身近に接してくれて、この数年の成長や変化を見てきたから、昨日久しぶりに彼らのCDを聞いたら随分と違う印象だった。年と経験を重ねて、確実に今の方がいいはずだ。だから今日はなんだか感無量であった。バンドとしては初めて見たわけだけど、昔の仲間が一堂に会して、僕もその仲間に入っているような気がして、だから彼らは我々のオールスター的なバンドなのである。リラックスした仲間で奏でる、楽しい盛り上がりの感じが良かった。

一方「きわわ」は緊張感のあるステージ。その中に意気の合った瞬間があり、むしろ息が合っているからこそ緊張感を生むような仕組みを取っているようである。一穂君とゲンキ君、お互いに何をするか分からないような展開を宮下がまとめているようにも見えるし、その全てをしっかり支えつつメリハリのあるドラムを叩くゲンキ君の、音量の感覚やタッチはいつ見ても素晴らしい。何度も言うようだが、このサイズのうちのようなハコで、歌ものの良いドラムを叩ける人を他に知らない。

そしてその全てを指揮しているのはやはりボーカル/ギターの一穂君なのかもしれないけど、その歌の世界は情景的で浮遊感を感じさせるような、あるいは童話のような時空を越えるような、そんな旅のようなものが前に進んでいくことによって指揮されているかのようでもある。詩のリーディングをするゲンキ君との二人の話者が別々の話をしながらもツッコミを入れたりして、宮下がアイヅチを打つようにペダルスチールを響かせる。楽器編成も面白いが、3人であることがおそらくキモで、歌と対話という要素にとってこの三角形は非常にいい形だ。こんなバンドはなかなかないだろう。

ひらがなのバンド名を持つ、ライブの機会が少ない、この対照的とも言える二つのバンド、ゲンキ君が言っていたように、この希少な組み合わせのまたとない機会をとらえて来て下さったみなさんは、まさに「ナイスキャッチ」であった。
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この3連発で彼らの雰囲気が分かっていただけるのではないでしょうか!ハンドマイクの恵美ちゃんもいいですね~
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by barcanes | 2013-11-19 01:09 | 日記 | Trackback | Comments(0)

耳で聞く力/Voices Inside マッスル・ショールズ特集

本人がそう言っていた。聞き取り調査でそう聞いた。誰かのインタビューを読んだ。それらは果たして、本当に正しいことなんだろうか。本人が言ってるんだからってそれが正しいとは限らないのではないか。まして過去の記憶について、当事者の証言が100%正確とは思えない。

だったら、自分の耳を信じた方が本当の真実に近づくこともあるのではないか。形のないものだからこそ殊さらインタビュー至上主義に陥りやすい音楽批評に、このような問題性とリスナーの可能性を提示したと思える。

音楽はミュージシャンにプレイされ、エンジニアに調整される段階を終えれば、あとはリスナーのものである。もちろん好きに聞けばいいし、好きなように解釈すればいい、という意味だけではない。リスナーの耳が何かに気づいてしまう。それは情報のキナ臭さに気づいてしまうようなジャーナリズムの問題でもあり、真偽の怪しい情報を嗅ぎ分けていくインテリジェンスの問題でもあるのだ。

結局、音楽は耳に始まり耳が頼りなのだ。その裏に膨大な知識と長い経験が蓄積されており、何かの事象にぶつかったときに齟齬が生まれる。なにかおかしいぞ、コレは。現実と隠された真実の間に何かがあるはずだ。

我々の鼻はどんどん悪くなり、何かを嗅ぎ分けたり嗅ぎ取るということができなくなる。つまり感じ取るということである。それで世の中の悪臭の原因を目に見えるように明らかにしようとする。感じられないからはっきりさせようとする。そのことで我々はこの世の中をいっそう生きづらいものにしてしまっている。

それはウンコの臭いがするからウンコを出せと言っているようなものである。テレビは臭いを伝えられず、若者は空気は読めても臭いには気づかない。責任者に頭を下げさせても何も解決していない。クサい臭いを嗅ごうともしないで、水に流して消臭スプレーでおしまいだ。話が逸れた。

我々の耳はどうか。レコードとスピーカーを通して、そこにないものを聞き取れるのか。音だけを聞いて、ミュージシャンの情感や個性、人間性までも聞き分けることができるのか。そして、そのミュージシャンがその場にいたのかいなかったのか、そこまで分かるというのか。目の情報に偏り、鼻の利かなくなった我々に残されたのは、耳だけかもしれない。

69回目の「Voices Inside」はサザン・ソウルの聖地Muscle Soalsをテーマにしようと企画していたところ、縁あってちょうど彼の地のスタジオ・ミュージシャンに関する新著を世に問われたばかりの鈴木啓志さんをスペシャル・ゲストにお招きすることになった。私もこの本「ゴースト・ミュージシャン」を読んだばかりで、このブログに感想を書いたところ、その世界の方から反応をいただいた。この本はどうやら賛否両論の論争を巻き起こしているらしい。

それは簡単に言えば、定説とされていることと比べて真偽のほどが疑わしい。さらには当事者が言っていることとも違う。そしてさらには、日本ではまだ未公開の最近のドキュメンタリーで証言されていることともどうやら違うらしい。しかしそれでも、著者は間違いを恐れず勇気を持って、長年の研鑽の末に思っていること感じていることを書いた。私はその心意気に感服した。冒頭で書いたとおり、当事者が真だとは必ずしも言えない。耳が、ソウルに愛と人生をかけたスーパー・リスナーの耳が勝っているかもしれないのである。

一時間超に渡った鈴木さんのDJタイムは、貴重なレコードとそれにまつわるお話で進んでいった。それはほとんど大学の講義のようでもあった。私は本を読んで予習済みだったので良かったけど、マニア以外にはその話の一割も分からなかったであろう。しかし客人たちは、鈴木さんの矍鑠(かくしゃく)とした堂々たるお話ぶりに、世の中にはこれほどまでに深い世界があり、それを追求する人がいて、誰も知らないようなところに実に魅惑的な世界が広がっていたということを知ることになるのである。

人名、曲名、録音の年号や日付まで、単語がすらすらと出てくるだけでも驚愕ものであったが、私はその世界を眈々と掘り進める探求者、あるいは真実を求める研究者、事実をひとつひとつ積み重ねていく捜査官のような氏のお姿を拝見しただけでも、とても壮快な気分がしたのだった。

KENTなどのリイシュー・レーベルから続々と未発表音源やスタジオテイクなどが発掘されているFameスタジオものなど、サザン・ソウルにはまだまだ我々の知らない魅力がつまっている。鈴木さんの仕事によって、また再評価の可能性が広がっただろう。これはマニアだけのものではなく、多くの人たちに聞かれるべき音楽だ。

その魅力はヒットした作品だけにあるのではない。シングル盤しか出せなかった無数のアーティストの無数の曲たちがあり、貴重なレコードということはヒットしなかったということでもあり、ヒットしなかったということは突出はしていなくてもヒットを目指しただけの熱さやアイデアや、一曲に込められた思いがある。それらの無限の広がりの麓の上に、燦然と輝くスターたちのヒット曲がある。

それらが全て合わさって、サザン・ソウルの「クラシック」の世界を織りなしている。その世界はもはや過去のものかもしれないけれど、そこにはまさに手作りの感触がある。小さなレーベルや小さなスタジオで、レコーディングの技術や演奏の技量やアレンジなどを模索しながら、売れるポップ・ミュージックを作っていこうとしていた、手作りの音楽なのだ。その感触には、いい音楽を作っていこうと模索している現代の我々にとって、学ぶことが多く残されていると感じている。

今回のイベントの中継模様。前半。
http://www.ustream.tv/recorded/40816383

後半は鈴木さんの「講義」から。その後にホスト二見潤の朗読DJもお聞き逃しなく。
http://www.ustream.tv/recorded/40818194
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お店にいらして開口一番「オレ、この店来たことあるよ!」とおっしゃった鈴木さん。僕がやる前の頃なのかな。この姿勢。この語り口。かっこよかったです。
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by barcanes | 2013-11-16 00:26 | 日記 | Trackback | Comments(0)

トリックなんかじゃない/Tim Scanlanとトシ・バウロンwith清野美土

オーストラリアのメルボルンという街は、バスキングの聖地として知られているそうだ。いわゆるストリート・ライブが盛んに行われているらしい。何メートルおきかに多くのミュージシャンが並び、様々なパフォーマンスが繰り広げられている中で、人の足を止め自分の演奏を聞かせ、そしてお金を落とさせるのは大変なことだろう。

トシバウロンが昨年オーストラリアに旅した際に仲良くなり、これは日本に連れていって紹介したいと思ったのがTim Scanlanという人だ。既に世界中をバスキングで旅し、いろいろなフェスティバルにも出演しているそうである。旅慣れた彼は、一人で勝手に宿を探しては泊まり、この店にもちゃんと調べたのか、大きなバックパックと恐ろしく軽いギターケースと、カートにまとめた機材を引っ張って、一人でやって来た。

彼は一人で複数の楽器を同時に演奏する、いわゆるワンマン・バンド。はじめにトシさんにYoutubeの動画を見せられたときはおったまげた。左利きのアコギを弾きながら、ハーモニカでアイリッシュのメロディーを吹く。手を使わずに首にぶら下げたハーモニカ・ホルダーで速いフレーズを吹きこなすのは至難のはず。それだけでもスゴいと思うのだが、さらに両脚はカホンをキックし、ハイハットを踏み、そして踊るようなタップを踏むのだ。これは見物である。

そして当日、やはりライブは動画よりもスゴかった。まず彼の乾いたやや高めの歌声が力強くとても良かった。そして面白かったのは、ギターの低音をバグパイプのドローンのように鳴らす不思議なペダル。オクターバーも併用したりして、低い持続音を出し続けるアイデアも奇をてらったものではなく、全てのテクニックがしっかりと使い込まれ、メロディーとリズムの組み合わせもいたく自然に練り合わされていた。当然だがチューニングもしっかりしていて、楽器のバランスもいい。

今回はゲストの清野美土(ハーモニカ・クリームズ)が10穴のブルース・ハープを吹き、ハーモニカ2台という面白いハーモニーが聞けた。清野さんは手で覆い被しながら吹くディープな音色で、Timのと重なると、時にはアコーディオンのようにも聞こえてくるから不思議だ。トシさんのバウロンは、ちょうどカホンのキックとタップの組み合わせを重厚にしたかのようで、サウンドに厚みと柔軟さを加え、そして店内には重低音が鳴り響いた。

バスキングではキャッチーでトリッキーなものが人の耳目を集めやすい。しかしそればかり狙っていると、音楽が「薄くなる」とTimは言うそうだ。前日、都内のストリートで演奏した際には、短い時間でCDが50枚ほど飛ぶように売れたという。アイリッシュ・レゲエなんていうのもいかにもバスキングらしく、即興的な日本語の歌なんかも、いろんなものが混ざり合った感じで面白かった。

しかし一方、今日のような時間のあるライブではそういった派手めなものだけではなく、しっかりと聞かせるものもある。歌ものでの彼の歌声と、カナディアン・フレンチの曲などケルト系のメロディがやはり印象的だった。ワンマン・バンドは決してトリックではなく、メロディ、リズム、ハーモニー、そしてアンサンブルまで一人でやれてしまうという、ミニマムかつ素晴らしくバランスのとれた音楽のあり方だった。
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いろいろな面白いミュージシャンを連れてきてくれるトシさん。音楽の趣味が合う。彼のバウロンの音色もディープで多彩です。
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by barcanes | 2013-11-13 02:06 | 日記 | Trackback | Comments(0)

クマガイマコトと本気のギタリスト

昨冬に続いて新潟からクマガイさんがやってきた。昨冬もクマガイさんと縁のあるギタリストが突然やってきて、アコギにエフェクターをフルセット持ってきて弾きまくって帰っていったが、今年も当日になって参加してくれることになった。今年はビグズビー・アームのついたファイアーバードにエフェクターと小型のフェンダー・アンプの本気セットでやってきた。そしてクマガイさんの1時間超のライブ全曲でギターを弾きまくった。

クマガイさんのアコギの「弾き語り」は、今回も聞かれなかった。つまり歌の詞をしっかりと聞き取るようなライブではなかった。ここ藤沢ではクマガイマコトというシンガーは、おそらく他所とは全く違う姿として認識され記憶されることになるだろう。彼はファイヤーバードの集中砲火を浴びて身にまとったお洒落なスーツもろとも丸裸にされ、和やかなムードもはぎ取られ、穴だらけにされて叫び、ギターをかき鳴らす。それは本来の姿ではないかもしれないけど、それもまた彼の姿なのだ。

火の鳥ギタリストはあれこれつまみやスイッチを細かく調整して、ディレイを効かせたサウンドをコントロールする。打ち合わせなし譜面も何もなしで、曲を聞きながら彩りを加えていく。歌と歌の隙間や間奏にはすかさずフレーズを突き刺し、文字通り炎の吹き出す素晴らしい演奏を聞かせてくれた。時には歌の邪魔をわざとするかのような挑発を仕掛け、シンガーを鼓舞する。あるいはケンカを売る。

確かに人によっては歌を聴くには耳障りでうるさかったかもしれない。しかしそれもまた音楽なのだ。シンガーとギタリストの間にしか分からないやり取りだったかもしれない。しかしそれもまた、ひとつのショーなのだ。嫌なヤツはNo!と言っていい音楽、それもまた形の変わったロックなのである。

人に何かを伝えるには本気でなければならない。という意味では、ギタリストは何かを伝えに来たのであった。それは歌の内容を越えたところにある音楽のひとつの姿である。歌の内容は、こっそり天井に仕掛けておいたレコーダーに録音されたものをあとから繰り返し聞いて、少しずつ伝わってきたりする。天井の視点聴点からだと、いいバランスでエレキギターのサウンドと混じり合っていて、当日には分からなかったクマガイさんの歌の世界がじわじわと染み込んでくる。だから個人的な反省としては、ギターアンプの向きを工夫すれば、もう少し聞きやすい音響を得られただろうと思った。

詳しくは書けないが、クマガイさんとファイヤーバードさんと、そして僕とヨメには不思議な縁のつながりがあり、それがまた藤沢と新潟の間に少しずつ広がってゆく。昨年も共演した近田心平は新潟にライブをしに行き、この日も緊張してお腹痛くなりながら前座を務めてくれた。最後に3人でアンコールをセッションしたのも、いい経験になっただろうと思う。
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クマガイさんはこんな人です。
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本気でフィードバックをかます後姿はこんな感じです。
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by barcanes | 2013-11-12 01:55 | 日記 | Trackback | Comments(1)

終わらない絵/画家とBGM

今年の夏に続いて2回目の「ガカビジ」。今回はワンマン・ライブということで2ステージ。1stではいつものように何曲かのメドレーのようなインスト曲が絶え間なく続いていく中でキャンバスに絵を描いてゆく。いわゆるライブ・ペインティング、ライブ・アートである。

しかし2ndステージはちょっと違った。ただのライブ・ペインティングではなかった。結論から言うと、演奏中に描き上がらなかったのである。2ndのキャンバスはお店の壁であった。せっかくだからお店に絵を描いてもらおうということになったのである。

演奏時間の予定は30分ほどだったから、私としてはワンポイントのイラストぐらいかなと思っていた。ところが演奏が始まると、画家のふみちゃんは絵の具をチューブから大胆にひねり出し、一面に広げていった。こりゃあ30分じゃ終わらないぞ、と誰もが思った。

そのうち大きな円を描き、内側に向かって何重にも円を描いていく。大きな波紋か、それとも大きな目玉だろうか。いつもライブをやるときのステージ後ろの壁になる場所だから、音楽が飛び出してくるような、っていうイメージだけ伝えてあった。演奏はとうとう尽きて、終演となった。お客さんも少しずつ去っていく。それでも画家はお尻を向けたまま描き続け、ただ記録用のビデオカメラだけが回っていた。

画家は何十分もひたすら円を描き続け、気がついたら中央に「Bar Cane's」と記されたレコードの絵になっていた。時間は1時間を優に超えていた。これはもはやライブ・アートではなかった。音楽のように消えていくものではなく、残る絵となった。お店の名前が刻まれたステージの壁となった。これから行われるであろう当店のライブの背景となったのである。

これはライブ・ペインティングの域を越えていた。なぜなら時間内に終わらなかったから。終わらない絵を描いてしまったから。終わらない絵をぶちまけてしまった時点で、画家は自ら枠組みを破ったわけである。だから時間をオーバーして描き上げてくれたこの絵だけど、この絵は終わらない。終わらない絵なのだ。

終わらないということは、何かを発し続けるだろう。何かの構造体がその枠組みを崩すことでその何かをとろけ出させるように、レコードがその溝をひっかき、弦楽奏者は指をすり減らし、人間がその身をクネらせ心を歪ませながら音楽をひねり出すように、この絵はきっと何かを発し続けさせるのだろう。

画家がいなくても音楽として楽しめるバンドだと思うのだが、その中央に画家がいることで何か違う面白さがある。その何かはそこにいる人には分かる。その何かをみんなが見つめることができる。ギター・アンプの不調から始まったこの日のライブだったが、大橋君のエフェクター・サウンドも冴えまくり、ドラム、パーカッション、ベースのリズム体もうねり、どこか視界のよく効いた音楽の海の中を旅するような楽しさを感じた。
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1stステージの絵。
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ぶちまけちゃったぞ。
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今日はこんな配置でやってみました。
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音の飛び出す絵と笑う画家。
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by barcanes | 2013-11-10 20:29 | 日記 | Trackback | Comments(0)