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羽ばたく常連客

何年もお店をやっていると、お客さんはいつの間にか少しずつ入れ替わり、懇意にしてくれた人が一人去り、すると不思議なことに誰かまた一人やってくる、ということを繰り返す。そんなことで常連客というのは数的にはだいたい一定を保ってきたものだが、どのタイミングからなのか、入ってくる人より出ていく人の方が多くなっていった。

結婚や転居、仕事が忙しくなったりして、その人たちは羽ばたいてゆく。バーは陳腐な例えだが波止場であり、渡り鳥たちの止まり木であり、次の航海、次の空に向かって旅立っていくステップであるのだと思える。うちを経由して羽ばたいていったのだとすれば、それはその人にとって良かったことのはずだ、と思うことにしている。

それは一度や二度だけの来店ということもあるし、生活の中の帰宅への一息かもしれないし、何年もかかって踏み出すステップの一段かもしれない。いずれにせよ、いつか来なくなる時が来る。というかいつの間にか来なくなってるということになる。これはお客商売に共通の切ない話である。

広い敷地の鵠沼の旧家が空き地になって9軒の分譲地になった。あの庭にあった高木や灌木たちは季節ごとに姿の違う野鳥たちの止まり木だったはずだが、それを無くした鳥たちはいったいどこに行ったのだろうか。他の止まり木を見つけただろうか。

無くなればきっと替わりになるものが見つかるだろう。どうせいつかは必要でなくなるものならば、存在価値などないのではないかとイヤにもなるときもある。また別の人の必要になるかもしれないが、今はいくらでも暇つぶしや気分転換の方法があり、わざわざどうでもいい人に会おうと出かける場所の必要などないのかもしれない。

人間が眠るはずの時間、身体を傷めつけながら飲む酒、腹の足しにもならない出費。賢い現代人たちが悪と認めるようなそんなものを、これからの時代に必要とするだろうか。ちょっとした気の迷いでもなければ、そんな場所に迷い込みやしない。しかし世の中には賢くない人も旧時代人もいるものだし、世の中にははぐれ者というのがいなかったためしはない。私はそんなはぐれ者がいる限りはこの店をやっていきたいと思っている。

離れて暮らす親が心配だからさ、と転居を決めたはぐれ者のアニキ。寂しくなるなあ。でもまあ、話半分として聞いておこう。だって、羽ばたいてもまた同じ木に戻ってくるかもしれないしね。
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by barcanes | 2013-09-30 23:26 | 日記 | Trackback | Comments(0)

守る常連客

新規のお客さんというのは、常連客で固められているような店に入り込みにくさを感じるものであるようだ。実際、個人店のバーなどというものは常連客によって守られているものである。

あるお客さんが体験談を話してくれた。僕がこういう店に初めて通うようになったのはね、伊勢佐木町から少し入ったところでね、ある時テーブル席を怖い人たちが囲んでいたんだよ。僕はまだそのバーに通い始めたばかりの頃で、カウンターにはその店の常連がズラッと並んでね、初めて行ったときに声をかけてくれた常連のおじさんがね「今日は終電は諦めろ。あの人たちが帰るまでカウンターを空けちゃいけないぞ」って言うんだよ。それでようやく怖い人たちが帰ったらさ、なんかみんなでやり遂げたっていう感じで乾杯してさ、そんな一体感がとても良くってね。それからだな、お店に通うっていうことが楽しくなったのは。バーっていうのはさ、学校なんだよ。

私の店にも以前、気のいいブルーズ好きのおじさんがいて、見慣れないお客さんが入ってくると私よりも先に「いらっしゃい」ってカウンターの隣の席に座らせて、接客の苦手な私の代わりにあれこれ世間話や酒の話なんかをしてくれた。そのおじさんは「ゲンちゃんにできるぐらいなんだからオレにもできるだろ」って、ある時会社をぱっと辞めてバーを始めたが、しばらくしてぽっくり逝ってしまった。

仕事帰りに毎日のように寄ってくれていた姉さんがいた。いつも元気で明るい美人だったが気っ風の男勝りなところがあって、私なんかは完全に弟というか妹扱いで男として見てもらえなかった。ある年のゴールデンウィークには靴からマニキュア、鞄まで全身金色で登場して度肝を抜かれた。連休を連日飲み明かし、ラムを何本も空けていったことが懐かしい。一介の酒場の者を結婚式にまで呼んでくれて、うちでやった2次会のパーティーの白いドレスのまま、夜の世界を卒業していった。

僕がこの店を引き継ぐことになる以前からのお客さんの男女が、この店での出会いから十数年の時を経て、交際から結婚に至ることになったと報告に来てくれた。口の悪いこの男性客は「ゲン君は客をエラんでるよね」と、だからダメなんだよと言わんばかりだが、それは「俺はエラばれてる」ということの裏返しを言おうとしているかのようで、どちらにしてもエラぶっているようで気持ちが悪い。俺はあんたをエラんだわけでもないし、お店を択ぶのはお客の方である。

しかし誰彼構わず相手をイラつかせるようなことを言って相手の反応を楽しむような飲み方をする、こんな客を許してきてしまったのは私の責任でもあるので、それはエラんだと言われればエラんだのかもしれない。

良い客も悪い客も、エラんだのかエラばれたのか分からないが、どちらにしてもどこか同列のところがあり、迷惑もわがままも、情も恩義も、感謝や挨拶と同じ、かけるもかけられるもお互い様の同義なのである。

確かに店を始めた最初の数年はだいぶ心配されて、そんな数々の大常連に守られてお店を続けることができたのだと思える。最近は何か特別なイベントか深夜にでもならなければ、常連客で固められるなんてことは滅多にない。守るべき価値がなくなったと言うと卑下になるので、どうせなんとかやれるんだろと安心されるようになったということなのかもしれない。

それでも新規のお客さんが入り込みにくさを感じるのであるならば、それは去る時代の常連客の残り香が、現在のお客さんたちのそれと何重にも積み重なり、どこか守護霊のようにこのお店を守ってくれているからなのだろう。おかげで開店以来とくに変なことは何もないのだが、もう少し、入りやすいように守護をやわらかく解いてもらえないものでしょうか。ねぇ。
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by barcanes | 2013-09-29 23:16 | 日記 | Trackback | Comments(0)

歌謡会第3回

藤沢に静かな歌謡曲ブームの火をつけた(はずの)「ほほえみ歌謡ナイト」から仕切り直して、3回目の「藤沢歌謡会」は主宰かずまっくすをはじめとして、大野さん浅見さんテツさんというレギュラー・メンバーの布陣も固まり、隔月末開催というペースも決まってきた。

対談形式でオシャベリしながらテーマに沿った曲をかけていくというラジオ・スタイル。出演者それぞれ、斬新かつマニアックな切り口で主に昭和時代の歌謡曲を有名無名問わずに聞いていく。特に最近の活躍著しい浅見氏の「GS第2弾、ひとりGSガール・シンガー特集」は、アナログ盤で攻めつつ一言ウンチクも忘れない、その奥深さには敬服。

一方でカウンターでは無関係にビール談義が広がっており、この生放送のラジオ番組はBGMとして機能していた。もう少しトークを軽めに、テンポよく曲をかけていければ、素晴らしいラジオと言えるだろう。全体の段取り進行などに気を使って準備をしていけたら、これはお客を呼べるイベントになるだろうし、ラジオ局に輸出できるクオリティになるのではないだろうか。

まあでも内輪で気楽にダラダラやるのも楽しいですけどね。最後に私も何かやれと主宰に請われ、ムード・サックスのレコードを何曲かかけさせていただきました。ちょっと深夜過ぎたかな。USTREAM放送を観てから来てくれた方もいて、楽しい夜になりました。

次回は11月末にお送りする予定です。みなさんぜひお楽しみに。

今回の放送は「USTREAM過去の番組」から聞くことができます。
http://www.ustream.tv/recorded/39316001
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by barcanes | 2013-09-28 22:43 | 日記 | Trackback | Comments(0)

相馬二日目

久しぶりに暗い時間に布団に入ったので朝10時のチェックアウトにもよく寝たという感じだった。午後には都内に入らなきゃならないミュージシャン氏を見送る。昼まで時間を潰すつもりでM氏のCDショップに寄ると、それでは知り合いの店に飯を食いに行こうと車を走らせ、宮城県境を越えた丸森町の食堂へ。暖簾が仕舞われているにも関わらず迎えてくれた。

コシのある手打ちうどんと手打ちの中華そば、その両方に超美味のチャーシューと紅ショウガが乗っていて、それ以外にも手作りの皮がおいしい餃子、ニンニク・チャーハン、これまたおいしい枝豆、おまけにコーヒーまで出してくれた。トライアンフが何台も並び、銘酒の数々がストックされ、山ほどのレコードとリスニングルームまである奥深い趣味人のマスターだった。家屋は民宿にもなっているそうで、次は泊まりで飲みに来たいねとみんなで話した。

実は今回の旅、同行の志にとってはもう一つ大事な目的があり、それは「えんどう豆」に募金を届けること。南相馬にある障がい者の作業所に立ち寄った。震災後の苦労などいろいろお話を聞かせてもらった後で、作業所のメンバーたちが歌やダンスを披露してくれた。小さな子供のまま大きくなったような皆さんの振る舞いは機嫌の悪い人も含めてまさに子供のように天真爛漫で、そんな彼ら彼女たちを支えるスタッフの皆さんの気丈夫と献身にも感激した。私も何か役に立てるようなことがしたいと思った。

案内していただいた「えんどう豆」の佐藤所長の「南相馬ファクトリー日記
南相馬ファクトリーオンライン

藤沢チームとしては、来年2月頃に予定しているバンド合戦「藤ロック」に向けての缶バッヂを4種類、「えんどう豆」に作ってもらうことになっています。

最後に松川浦から相馬の漁港の方まで廻って、2年前の春に来たところと同じ辺りに行ってみた。多くの人が亡くなったという吊り橋の高さに改めて恐畏を感じた。相馬港の辺りは工事が進んでいて、地元の新聞には翌日から試験操業の漁が始まると書いてあった。しかし海辺に吹き寄せる潮風はどうしたって寂しげで、同行の一人はなぜかクシャミが止まらなかった。

夕方に相馬を出て中村街道から東北道へ。レンタカーを交代で運転しながら8時間かかって藤沢へ帰ってきたのは深夜。一泊二日の合宿というか気心知れた仲間たちと修学旅行。いや研修旅行のはずだったか。震災後に相馬とのホットラインを築いた同行の兄貴の人脈に乗って、あちこち連れてもらっただけだった。ただ僕にとって3回目の相馬は、また少しだけど近くなったと思う。少しずつしか近づけないのだろうと思う。
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by barcanes | 2013-09-26 21:45 | 日記 | Trackback | Comments(0)

相馬へ飲みに行く

朝4時にCane's集合で4:30出発。車2台で総勢7人。都内と埼玉を通過する頃には大雨に降られ、5時間後には福島駅でもう一名と合流。足を延ばして南相馬から一年前にはまだ通行止めだった日高、浪江の方まで車を走らせた。

車窓から見えた風景について、個々の感想は違うのだろうと思う。打ち捨てられた農地には潰れた車やガレキもそのままに、やけに蝶々が舞い遊んでいた。人間が生活していたはずのところに雑草が生い茂り、自然の猛威とは海のことだけではなく、植物や虫の力のことでもある。廃線化した線路の上にコスモスが咲き乱れるのは、驚異でもあり美しさでもある。廃れゆくものにも美しさがあり、美しさに抗していかなくてはならないこと、例えば山林を切り開いて道路を通していくようなことに、我々人間の悩みと闘いがある。廃れゆく美しさに対抗しうる生活の美しさを見いだしていかなければ、我々の生活はないのだろう。

昼過ぎて相馬郊外新地町にあるS氏邸の広い庭にてBBQ。藤沢チームを迎えてくれた肉三昧の豪華なもてなしに、報いるためにはひたすら食うしかないのだが、我々の返礼は少々足りないぐらいで夜の二回戦に臨むことになる。

相馬駅前のホテルの大部屋にチェックインして、夕暮れの風呂を浴びての仮眠。そして人も車もほとんど通らない夜9時出立。S氏の店にて酒宴。今回の私の主たる目的は、酒を飲みに行くことなのだ。

偉そうなことはなにも言えない。自分にはなにもできることはなく、なにもできなかった。だから私はただ、飲みに行くのである。相馬から藤沢に客人のあるときには一緒に飲み、そして我々も出かけて行く。元気づけることも勇気づけることも、明るい話も暗い話にもなにも言えやしない。だからまあ黙って飲むのである。

しかも私はあまり調子が出ず、疲れてうとうと居眠りしながらでぜんぜん飲めなかった。戦力になれず申し訳なかった。しかし先方も潰しにかかってくるので、僕一人ぐらい潰れてた方が格好がつくというものである。と言い訳。また普通に飲みに来たい。と言うかきっとまた行くだろう。

深夜2時ぐらいになってやっと元気が出てきてオレの時間が来たなって頃にお開き。ホントお前は時間帯が遅過ぎると言われながら、いつもみんなとズレてしまう、集団行動と人付き合いの苦手な私なのでした。

写真など、同行のミュージシャン氏のブログもぜひご覧ください。
Marolog「南へ、北へ」
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by barcanes | 2013-09-25 21:37 | 日記 | Trackback | Comments(0)

臨時休業のお知らせ

9/25(水)、26(木)と連休させていただいて、秋季研修のため福島県相馬市に行ってきます。

なんの研修かって?人と楽しくお酒を飲む研修ですよ。その他、あちこち見ることができたらと思っています。
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by barcanes | 2013-09-25 03:02 | お知らせ | Trackback | Comments(0)

さらに苦いビール2種

先日入荷した西海岸の苦いビールたちはわずか3日で売り切れてしまった。4種6本ずつなので大した本数ではないが、予想以上に拒否感なく好評だった。そしてさっそく第2便。まあこれも後日書きなので2日で飲み切ってしまったのだが、一応記録まで。
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ライ麦を使ったややイギリス・スタイルのもの(濁りの入ったうす焦げ茶色)と、小麦を使ったややドイツ風のもの(こちらは濾過できれいな金色)。どちらも苦みは強いがバランスを欠いていると言うほどではなく、しっかりと冷えた状態からゆっくり飲んでぬるくなるまで、味わいを楽しむことができる。

缶の方は470ml入りのパイント・サイズで、値段的にはお得感がある。ビンよりも遮光性が高いせいか品質の安定にも良いそうで、缶がこれからの主流になるのではないかとのこと。持ち運びにも便利だしね。

ちなみにインポーターのスタッフによる個人的なコメントを紹介させていただこう。

左側はDevil's Canyon Brewing Co.のSunshine IPA
最近一番のお気に入り。毎日でも飲みたい。ブラッドオレンジの果肉のよう。16オンスの大盛り加減も調子良く、缶ってやっぱりビールにとって理想的な容器なのだと感じます。これからの季節には特によくあうであろう。

右側はLagunitas Brewing CoのLittle Sumpin' Sumpin' Ale
この会社に入って心底美味しいと思ったビールの一つ。 小麦由来のフルーティーさとホッピーな爽やかさ、フィルターをかけているが故の美しいゴールデンオレンジ色。休日の午後、陽のあたるテラスでのんびりと飲みたい。Cane'sで飲むなら一杯目がいい。あえてキンキンに冷やしていきたいハイアルコールホッピーウィート。

それから別件でビック・ニュース。11月の「Voices Inside」はマッスル・ショールズ特集を予定しているのだが、数々の著書のあるビッグ・ゲストが来てくれそうとのこと。

そして急遽イベントの告知を。10/6(日)は「映画館ナイト」第3弾でカリプソ映画をやりたいと思います。その名も「カリプソ天国」。20:30上映開始。ノー・チャージ。シークレット・ゲストによるカリプソDJもあります。お酒を片手にソファでゆっくりと、脚も伸ばしながら、タバコを吸ってもいいし、家では味わえない音量で、日曜の夜に音楽映画でも観ませんか?
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by barcanes | 2013-09-24 00:53 | お酒 | Trackback | Comments(0)

感覚の言葉/結婚パーティーにて

大学の時の友人が結婚パーティーに呼んでくれて、佐島マリーナ近くのオシャレな貸し別荘に行ってきた。海辺の波が打ち寄せるステキなデザイナーズハウスだった。友人が焼いてくれた美味いBBQの肉をお腹いっぱい食べ、何年ぶりかに会う友人たちと話ができてよかった。

面白かったのは、友人が奄美の民謡歌手のハウス・リミックスのアナログ・シングル盤のライナーを書くっていう話で、ドイツで300枚ほどプレスするそうだ。その行程の全てがどこか浮き世離れしていて、そのダサいんだか先鋭的なんだか分からない感じが、僕らの学生時代を懐かしく感じさせた。

その後僕の店にも来てくれて、酒やお茶や葉巻などの嗜好品の、それぞれ分野別にマニアックに掘り深めるだけではなく、それら全体を見渡すような味覚嗅覚の言葉を持つ必要があるのではないかという話になった。さらには聴覚、音楽にも共通するような。嗜好品の感覚の表現には、どこか音域や音の配置に通ずるところがある。例えば高音域と低音域では音の伝わるスピードが違うわけだが、そのような味覚嗅覚の時間差というものがあることにはみなさんもお気付きのことと思う。

我々(とは今回は大学の友人たちという意味で)は何かひとつを突き詰めるというよりはジャンルを横断するような感覚を持っており、その分中途半端な世代と言えるわけだが、一見違うと思われるものの間に共通性を見い出し、それらを共感で結ぶということは、感じるだけではなく言葉で表現するということなのだと、示唆をもらったような気がして、短い時間だったがいい再会であった。
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by barcanes | 2013-09-23 00:32 | 日記 | Trackback | Comments(0)

ビデオ完成

先日の今西太一ライブの時に演奏した「福島の人」のビデオが完成した。音声はP.A.部の太陽ぬ荘相澤君が2種類のソースを歌が聞こえるように苦労してミックスしてくれた。その音に合わせて映像部の大野さんが2種類の画像を編集し、テロップなどを付け加えてくれた。これで「藤沢で歌おう 福島の人」ビデオ完成!

演奏の方はまあ正直、飲まずには見るにも聞くにも耐えない出来なのだが、熱意だけは画面から溢れているはずなので、それぐらいは福島の方々にも笑っていただけるのではないだろうか。しかし曲の最後のところで太一さんが飛び込んでくるあたりからは、ぐっとまとまるからさすがである。オンエアされるとしたら、この最後のところぐらいかもしれない。

後日、相馬市の知り合いにこの話をしたら、相馬ではローカル局の「福島テレビ」は見られないそうだ。相馬は福島よりも仙台圏の方が近いのである。それにしても、僕と相澤君のツインギターがシンクロし過ぎてて一本のギターに聞こえる。弾いてる時もどっちがどの音を弾いてるか分からなかったぐらいだ。このコンビネーションはハンパじゃないぞ。
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by barcanes | 2013-09-22 00:21 | 日記 | Trackback | Comments(0)

We are Back To Mono!/Voices Insideモノラル特集

67回目の「Voices Inside」はスゴかった。モノラル専用のレコード針と、換えたばかりのパワーアンプのおかげで音質がクリアに音圧が増し、やや大きめの音量で鳴らせばまるでそこで演奏しているかのような迫力だった。ライブのP.A.というのは基本的にモノラルの世界であり、モノラル音源というのはライブの感覚に近いのだなと気がついた。

特に圧巻だったのは浅見卓也氏による、UKの60'sロックを取り上げた第2セット。「マトリクスNo.1」、いわゆるオリジナルの初回盤ばかりを並べた豪華なレコードの数々。このセットだけで総額いくらになるのだろうか。そんな貴重なレコードをただで聴けるのだから誠に有り難い。

ゼム、キンクス、フー、スペンサー・デイヴィス・グループなどのモノラル・シングル盤の音像は、インパクト勝負の極端とも言える音作りだ。まさにこれぞロックという音がある。その極致はやはりビートルズで、「ペーパーバック・ライター」のイントロからバンドが一斉に入ってくるところなんて、会場一致の大盛り上がりだ。目から鱗のビートルズが現れたのである。音のダイナミクスがスゴい。ホントにライブ会場の最前列にいるかのような迫力である。

こんなのを若いときにリアルタイムで聞いちゃったら、そりゃあハマっちゃうでしょうね。UKのロックの音はハイとローがやや強く、やはり若い世代に向けてインパクトのある音作りがされているようである。何曲かUS盤とUK盤との聞き比べ(もちろん両方ともマトリクスNo.1)をするという企画もあり、非常に面白い企画だった。

最近の浅見氏のプレイはジャンル的な幅といい深みといい、これでもか!といった具合で、まだまだいろんなヒキダシが、それもずいぶんと奥行きがあって引いても引いても出てこないようなヒキダシがたくさんついてるタンスのようなものがある。おそるべし。そして音と一緒にもっともっと語るべきものを語っていただきたい。

準レギュラー関根雅晴さんの第2セットではパーシ・スレッジ「男が女を愛する時」からのジョー・サイモン、マイティ・サム、ラティモア・ブラウン、ケリー・ブラザーズときてウィルソン・ピケット「I Found Love」という、ちょうど本を読んだばかりのマッスル・ショールズ絡みの選曲に唸らされました。

二見さんのオープニングはロネッツで始まりロックンロールからブルーズへ。まさにモノの音楽たち。いつもフられっぱなしの朗読ショーも今回はひと味違う展開になりました。オールディーズ・ナンバーに彩られた甘酸っぱいハイスクール・デイズ。安易に恋に落ちてしまうひと夏の恋。22分ほどの短いストーリーですが、一篇のドラマを観たようなどこか爽やかな余韻が残ります。ぜひ一度お聞きください。下にリンクを用意してます。

さて考えてみれば、最近ではめっきり70年代のソウルもかかることも少ないので、普段から音源はモノラルが中心なわけです。そこをあえてモノラルを特集することによって特に明らかになったことは、ロックンロール~ロックの躍動感、迫力が音圧のダイナミクスで表現されていたということになるのではないでしょうか。

また、ステレオとの対比でいえば、それはライブ音楽とオーディオ音楽との対比であるのかもしれません。オーディオ機器全体を「ステレオ」と呼んだ時代があったように、ステレオ音源は家庭用のオーディオのために考えられたのだとすれば、「Back To Mono」とはライブ・ミュージックに立ち帰れ!ということになるのかもしれません。

それはダイナミズムとは左右の振れ幅ではなく、全体のメリハリ、押し引き、なにが大事でなにを際立たせるか、音量と音圧、演奏のタッチによる生きた音楽のダイナミズムなのではないかという、音楽の政治学にもつながってくるのではないでしょうか。つまり、真ん中しかないわけです。中道にしか道はないというわけです。

と考えてみると、これ余談ですが、二大政党制のステレオとモノラルの一党支配、どちらがいいかという話にもなってくるかもしれませんが、だいぶ前にシアターの3チャンネルのシステムが完璧だという話を読んだことがあり、そうするとアフリカ・ソマリアの3政党制こそ完璧かもしれませんな。

次回10/19(土)のVoices Insideは、もしかしたら単独ゲストでは初めてかもしれない、女性ゲストDJが登場します。アンプを入れ替えたことにより音圧と解像度を増して、この男臭いイベントも次のステップに入ったかなという感覚がありますが、次回はさらに華やかな音色を加えてもらえるのではないでしょうか。お楽しみに。

今回のVoices Insideは「USTREAM」の「過去の番組」で見ることができます。
http://www.ustream.tv/recorded/39055075
二見さんの朗読ショーは1:40頃から。
浅見さんの2ndセットは2:02頃から。
関根さんの2ndセットは後半の頭から。白眉は0:25頃から!
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by barcanes | 2013-09-21 21:45 | 日記 | Trackback | Comments(0)