2週連続カバー特集の金曜日

9/1(金)、8(金)


8月には一度も開催のなかった金曜日のカウンターDJシリーズ。9月は2週連続でカバー特集でした。9/1は通算34回目の”Free Friday”、潤くんの「Doug Sahm金曜日」。1988年の名盤「”Juke Box Music”を聴く」というテーマで、50〜60年代のローカル・ヒット曲をカバーした収録曲(一曲のみダグ・ザームのオリジナル)とそれぞれの原曲や関連曲をアルバム(アナログ11曲、CDでは4曲プラスして15曲)収録順に聞いていった。

このアルバムとその続編とも言える1994年の”The Last Real Texas Blues Band”は以前から私にとって特に愛聴盤であったのだが、後に知り合い一緒にバンドをやったりすることになるアニキたちもみんなこれら2枚を愛聴していたことは、奇遇というよりもむしろ必然であったかもしれない。リアルタイム・ソウルを経験していない我々世代にとってのその入り口の一つは、リアルタイムに聞いたカバー・バージョンである。どんな曲がどんなアーティストによってどのようにカバーされてきたかは千差万別、優劣の判断や好みは分かれて当然である。しかし、原曲への愛とそれをカバーするに際する工夫やクオリティとの両面において、この我々にとってリアルタイムな年代に出されたカバー・アルバムは傑出しているからである。

細かいこと言えば個人的には94年作品がリアルタイムで、88年作は中古CDでの後聞きである。そして今回、持ってなかったレコードを潤くんからプレゼントしてもらった。彼はもちろんそのアルバムだけでなく、原曲のシングル盤たちをもコツコツと集めてきたわけである。彼の考える3大カバー・アルバムはこれの他、Dr. John "Gumbo"とThe Band "Moondog Matinee"ということになるのだが、共に70年代の作品であるこの2作より、回顧の振れ幅がより近いということになるだろう。だから彼のこのアルバムに対する愛は、我々にも通じるものがあったわけである。それでもそこからさらに約30年経つわけだが。

さてカバーを聞いていく楽しみとしては、原曲に比較的忠実な場合は原曲に軍配を上げざるを得ないし、工夫を加えた場合も原曲の魅力を超えられないことが多い。それでは原曲を超えるカバーとはどういうものか、ということになる。原曲が有名なヒット曲であれば、どうしても原曲のイメージが先行するが、ダグの選曲はマイナー・ヒットばかりなので、我々としてはカバー・バージョンのイメージが強くなってしまう。なのでA面とB面では先攻後攻を入れ替え、A面は原曲先攻、B面はカバーを先行としてみた。

リズムやアレンジの組み合わせなどのアイデア、機材的な技術面など、どう考えたって後出しジャンケンの方が勝ちそうなのにそうでもないところが音楽の面白いところである。仮にボーカルの魅力はそれぞれ同等であるとしよう。とすれば、原曲に含まれているけど花としては開かなかった蕾のような要素、あるいは表面上にも出なかった根っこのような要素を捉えて、あるいは感じ取り、そういった可能性がどんな芽を出し葉を広げ花を咲かせたか、といったことを形にして表現できたかどうか、ということになるのではないだろうか。

つまり逆に言えば一般的なカバーとは、原曲の咲かせた花を見て似たような花を咲かせているに過ぎない。ボーカリストの花であったりソロイストの花で、その花を置き換えているに過ぎないのである。しかしナイスカバー!と唸るようなものはそういうことではない。原曲が咲かせた花を折ってでも違う蕾を開かせてもよいかもしれないが、ダグ・ザームはそこまでの乱暴をせずとも、しっかりと原曲の野生な素朴さを残しつつ、全体の枝ぶりを整え、時には既にカバーされたものにも注目しつつ、大胆な接木を施す。言うなれば古木を現代に生き返らせる植木職人である。

切り花を花束にしてデコレーションしたようなカバーを喜ぶ人もいるかもしれないが、そういうものにつまらなさを感じる者は、まだ道端の野花を見る方がよっぽどマシかもしれない。歌はカラオケでも鼻歌でも生き延びるのかもしれませんがね、やっぱり忘れられていくであろう良い曲は、レコードが残されていると言えども、生き返らせてくれるようなカバーは必要ですね。そしてそれらをかけてくれるDJも。

この日はプログラムが早めに終わり、その後もダグ・ザーム関連で延長戦。私は酔っ払ってなんかいろいろ変なこと喋りすぎた気がする。

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Xクラスの太陽フレアの電磁波がビリビリ感じられるような気がするのは気のせいかもしれない翌週9/8の金曜日は、「ゲンキン!誰のカバーやねん?」ということでGenさんのカバー特集。有名曲のカバーなら原曲を聞くより、いろいろなカバーの聞き比べなど。こちらは外来種が野生化してしまったような逞しい珍カバーや、街の片隅に忘れられた野草のような珍カバー、聞いたことのないものがたくさんあって面白かった。

カバーには自分たちのルーツを明言するようなものと、自分たちのスタイルに引き寄せてしまうようなものがあり、何れにせよそこから愛や敬意が伝わってくるというのが、カバーもののいいところ。まだまだカバーもの特集はネタがありそうですね。各ジャンルのカバーもの、ジャンルを超えたカバーものなど、レコードを聞く楽しみは無限だと思います。そんな気軽なレコード企画はぜひ金曜日のカウンターDJシリーズにお寄せください!

この日の最後はバスター・ポインデクスター(デヴィッド・ヨハンセン)による“Bad boy”。ジャンルを超えて幅広いレコード・ハンティングをしているGenさんならでは、前週のダグ・ザーム特集に合わせてくれてのナイス締めでした。

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by barcanes | 2017-09-15 14:41 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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