アイルランドの「伝統」音楽とは

5/13(土)

毎月の「アイリッシュ・セッション」を主宰してくれているフィドラー椎野さんと仲間たち"SEÓL”(と書いてソウルと読みます)のライブは、昨年3月以来。ギターはいつも静岡県富士市からセッションに通ってくれている松野さん、そして横浜在住の吉井さんは笛類とコンサーティーナを器用に操り、最後まで残ってお酒を飲んでいってくれて「近くにあったら毎日来たい」なんて可愛いことを言ってくれるステキな女性。

素人の耳にはどれも似たようなメロディーに聞こえてしまうアイリッシュのチューン、それぞれの曲の裏話を解説してくれる椎野さんのMCが興味深い。プロの演奏家ではない市井の人たちが、音数の限られた中でメロディーを紡いできたのがアイルランドの伝統音楽たる姿なのだ。「アイルランド伝統音楽」と銘打っただけあって、それらの多少の相違に挑んでいくわけだが、彼らも判んなくなっちゃうから曲順表にアタマの3音ぐらいをアンチョコしているらしい。
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「伝統」の対義語は「革新」。革新の対義語には「保守」というのもある。それでは伝統と保守とは何が違うのか。たまには辞書でも開いてみようか。(広辞苑第二版より)

『伝統』①系統をうけ伝えること。また、うけ伝えた系統。②(tradition)伝承に同じ。また、特にそのうちの精神的核心または脈絡。
『伝承』(tradition)つたえうけつぐこと。古くからあった「しきたり」(制度・信仰・習俗・口碑・伝説などの総体)を受け伝えてゆくこと。また、その伝えられた事柄。
『口碑』(碑に刻したように永く世に言い伝わる意)昔からの言いつたえ。
『保守』①たもちまもること。正常な状態などを維持すること。「機械のーー」②旧来の風習・伝統を重んじ、それを保存しようとすること。【保守主義】(conservatism)現状維持を目的とし、伝統・歴史・慣習・社会組織を固守する主義。

我が国の伝統芸能などの場合、徒弟制や流派が強い印象があるので、それは『伝統』の①に当てはまるかもしれない。しかし今回のような場合、Traditional Musicとしては②の意味の、とくに「精神的核心」というところが重要でしょう。椎野さんのMCは『口碑』ですね。
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余談ですが、これまで『保守』と思われてきた保守政党が現状の維持を目的とせず、懐古的な趣味を求めているのだとしたらそれはもはや保守ではなく、言うなれば「プレ保守主義」みたいなものになるのではないでしょうか。あるいは限定的な現状を維持するために組織的なものを固守するのが「ポスト保守」なのでしょうか。ある意味「革新」政党かも。ああ、余談でした。

「伝統音楽」と銘打っているだけあって、椎野さんのフィドルは特に革新的というわけではなく、しかし何らかの系統に属したものというわけでもない。表層的な形式を整えるだけでなく、そのどこかぶっきらぼうでワイルド、枯れたフィドルの音にアイリッシュ音楽の「精神的核心」を響かせているからこそ、それが伝統音楽たりえるのだと思う。

この日は3人とも生音で大丈夫かな、と思っていて録音の準備をしてなかった。でも結局は音量を合わせるのにフィドル以外に回線を使ったので、あとはフィドルにマイクを当てておけばよかっただけだった。いい演奏だったので録音しておきたかった。次回には必ず。なので次回のライブを必ず。

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2時間弱のライブ終演後は、見にきてくれたお客さんたちと輪になってセッション。遅い時間からは久しぶりの客人や同業の仲間たちやらがカウンターを埋めて、なんだかカオスな歌謡曲リクエスト大会。前回のライブの時も、遅い時間にいろんな人が来てカオティックだった記憶がある。「アイルランド伝統音楽」には、そのような人を引き込む魔力があるのだろう。

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by barcanes | 2017-05-19 14:28 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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