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励ます/突きつける

3/28(火)

35歳かあ。悩みとかあるの?いいなあ、まだ若いじゃん。わたしもうおばさんだからゴメンね、変なこと言って。でもさあ、70代ぐらいのオジ様たちもみんな元気よ。ポジティブで。いろいろ大変なこともあったはずだけど、忘れちゃうのかしらね。年取ると長生きしたくなっちゃうのかな。私にはまだわからないけど。

おねえさんは幸せなんですか?ポジティブなふりしてるけど、なんか不満があるように見えますよ。いろいろ通り越してどうせポジティブになっちゃうんだからって、ポジティブに生きろっていうのは乱暴でしょ。ネガティヴなのは若さの特権じゃないですか。

先日客人から借りた「それでもこの世は悪くなかった」93歳の佐藤愛子さん、初めての人生指南書。私のような生き方は勧めません、という読みやすい新書で、私には「お金のことでクヨクヨするな」というメッセージだった。曰く、90になって分かることがあるそうだ。そうなのだろう。でもそれは90になって90のことが分かるのであり、若い頃のことが後になって分かったりするとしても、若い人のことまでは分かるとは言ってない。

だから若い人にこうしろとは言わない。だから「こうするな」と言う。苦労をするなとも言わないし、それでもクヨクヨするなとも言わない。ただ自分は苦労を背負ったけどクヨクヨしなかった、と言っているだけ。

人を励ますことは、人生を突きつけることになる。なぜなら若い人は誰しも、常にそのちっぽけな人生にぶち当たっているのだから。年配者は自分の通り過ぎた岩をちっぽけに感じて、その小さなとっかかりを探したことを忘れてしまう。もしかしたら直登を諦め、回り道して違う道を取ったかもしれない。それなのに年配者は年上というだけで上から見下ろして、登らなきゃなあとその岩を見上げている若者に「さっさと登ったらいいのに」と言う。分かってるって。ただ自分のやり方で登りたいだけなんだ。

酒場では、それは酷というものです。足元を見ろとは現実を突きつけること。酒場とは逃避の場でもある。人に人生を突きつけて面白がるオヤジもたまにいるけど、まあ嫌われますね。教えを求めているときにだけ突きつけてやればいいんですよ。

でも年を取れば取るほど自分の欲望に素直になってゆく。年寄りはおこがましくていいんでしょう。だから年を取って忘れてしまったネガティブは、若い人に残されてゆくんじゃないでしょうか。受け継がれてゆくもの、それが保守ってやつなんでしょ。オレと同じ道を辿れと言うのなら。あなた方は遺産を残したかもしれないけど、同じだけのネガティブも残したかもしれないんですよ。そんなこたあ分かっている。だからオレはネガティブをばら撒くんじゃア。それもオヤジか。

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「私のように生きるのは、止めた方がいいんですよ。」いい励まし方だと思います。ファンクを感じます。


by barcanes | 2017-04-07 09:02 | 日記 | Comments(0)