Cotton ClubでJakob Bro Trioを観る

3/2(木)

ギターの小さなループ音が空間の上の方で、シンセが静かに伴奏しているように聞こえているがキーボード奏者はいない。幾多の競演で知られるベテランのJoey Baronは、素手でドラムセットを叩きながらニコニコ笑っている。テレキャスターのフロント側ピックアップのトーンを抑えた軽いタッチに、柔らかいリバーブが膨らみを生み出したまま長い間持続して、重層的な和音を形作りながら同時に消えてゆく。

ブラシやスティックを持ち替え、最後には最大の音量で叩く間にも、そんなドラムの熱量に構わず、ギターとベース(Thomas Mogan)は相変わらずの淡々としたペースを守ったままエンディングとなった。実は事前にこのギタリスト、Jakob Broをよく知っているという音楽家から「たいしたことないで。熱くないんや。まあ見たら分かる。」と言われてしまっていたので、それはそういうことを言っていたのかな、とも思った。でも一方でむしろ、見た目に反して私よりも年下の、若いこのギタリストが、どのようなクールさを見せるのかに興味が湧いたのだった。

悪くない。空間をいとも簡単に制御していて、全然悪くない。でも私は我々は、わりと身近にもっとスゴいものを見てしまっているので、驚かなくなっちゃっているのかもしれない。それが「熱さ」によるものなのかどうかは一概には言えないだろうが、素晴らしい録音作品を作ってしまうと、なかなかそれをライブで超えるのは難しいということになるのかもしれない。

70分の演奏に6500円、グラスを下げに来るのだけは頻繁なスタッフたちの人件費や東京駅丸の内口間近という立派な立地を考えれば仕方なし、我々は半額チケットで入ったのでまあいっかなあという具合になるわけだが、商売を抜きにすれば完全にCane'sの勝ちだと思った。

テーブル席に横向きに座らされて身動きできず、演奏を聴きながらメシを食うなんていう悪趣味が私は嫌いだし、なんてったって私は演奏者の仕事以外の全てを一人でやっているのだ。チャージは安く済む。サービスの精度は天地の違いかもしれないけど。でもサウンドはそれほど引け目を感じない。むしろ近距離の良さもある。特に集客が良くない時には、身動きできて酒も自由に飲めてタバコも吸えて、サイコーじゃないか。

たまにはこうして外出してサウンドをチェックし、おこがましい気分が生じるのもいいだろう。それに今回は「かわECM」のメンバー、ピアノ王子と治療院と一緒だった。このイベントでヤコブ・ブロも知ったし、気に入ってレコードも買った。ECMの初リーダー作”Gefion”は愛聴盤となった。みんなで見に行って、それで僕らがCane'sで見たり聞いたりプレイしたり、繰り広げられている音楽が全く引けを取らないものであるということを確認できた。やはりライブ演奏者には、録音物を圧倒的に超えるものを現出させてほしいということに尽きる。どんな場所であろうと。
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久しぶりに都内に出るチャンス。とりあえず新宿に出て、駅地下の思い出深い「ベルク」で立ち飲み。ディスク・ユニオンのジャズ館の別棟アナログ・コーナーはあまり目ぼしいものがなくてチャーリー・ヘイデン入りのオーネット・コールマンを2枚。ソウル館も目ぼしいものがなくて、安売り箱からぁけしでレイクサイドのコスプレ盤をまとめて5枚ほど救出しました。


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by barcanes | 2017-03-04 02:40 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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