ムカついたこと

2/20(月)

「わたし、マスターにムカついたことがあるんです。」と彼女に言われてビックリした。突然そんなことを言ったのは、それまで静かに目を通していた本に関係していたのかもしれない。言わないままにしていたことを思い出したのだろう。

「ケンカした相手が、次の日もし死んでしまったらどうするんですか。」私は、ケンカしようがしまいが突然死んでしまったら悲しいに決まってるし、ケンカしていたら後悔で、ケンカしてなかったらその悲しみが多少は和らぐなんてことはないと思う、と言い分した。屁理屈かもしれない。

彼女が読んでいた本は掌編で、別れた女がその日のうちに死んでしまう話が入っていた。とは言え、私は人が死ぬほどのケンカをしたことがないし、ケンカといったって酒の上でのちょっとした言い争い程度のことである。ケンカできる相手とケンカしている、と思ってきた。だけど、思い返してみればそうでもなかったのかもしれない。

ケンカが原因で死ぬことだってないとは言えない。しかしそうだとしても、ケンカしたら負けるのはいつも自分の方だ。つまり死なれるのは自分で、客がいなくなってしまえばそれは商売上の死でもあるから、自分の死ということにもなる。

「わたしケンカが嫌い。」屁理屈をこねる私にそう言って帰っていった。いいケンカも悪いケンカもないのか。ビックリしたのは、こんな私にムカついてくれる人がまだいたからだったのだ。有り難い。もう二度とケンカしないと思う。ケンカできる相手がいる、というのは若き日の残像に過ぎないのだろう。
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以前「すばる」で連載していた寂聴さんの掌編が単行本になってた。いろんな意味で恐ろしい本だ。


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by barcanes | 2017-02-24 23:15 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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