スリ傷のソウル

1/21(土)

毎月欠かさず107回目の「Voices Inside」は、主宰二見潤の45歳の誕生日間近ということで、45回転シングルを45枚かけようというもの。テーマ別に15曲ずつ3セット。まずゴリラからポニーまで、動物ものも多かった”Dance”、そして得意分野かつ最も盛り上がった”Tears”、最後にロッキンな”Blues”。何度もかけてる定番の曲、みんな知ってる有名曲、潤君が若い頃にロック・カバーから知ってオリジナルに辿った思い出ある曲などにマニアックな選曲をバランス良く混じえた、渾身の45枚であった。

レジュメも用意されて何がかかるか分かっていても楽しめてしまうのは、厳選された曲の素晴らしさもさることながら、曲間の自嘲含みの小話である。曲を面白く聞かせるにはやはり体験が、耳と脳ミソだけでなく体を通り抜けているかどうかが重要である。心に届くとは、心を痛めることと同義なのだ。心を痛めたことのある体験と曲とが共感し合って我々聞く者に届くとき、我々自身もいつか傷ついたことを思い出して、つまり少しばかり傷ついているのである。だから笑ってしまうのだ。少しばかりの失敗をやらかしてしまった時のように。

二見潤とはそのような共感力を持った人間でありDJである。音楽を聞くときかけるとき、そうでない時でも頭の中に音楽が流れていれば、いつでも傷ついている。ソウル・ミュージックに与えられた使命であるかのように、スリ傷にまみれたレコードをスリ傷ごと聞かせる男。それが彼を"King of Broken-Hearted"と言わしめる理由なのである。

ゲストなしの今回、レギュラーのマサオさんは裏テーマでIke Turner特集。さすがにオリジナル・シングル盤は揃わないとのことでCDからの選曲であったが、まさに目からウロコであった。トレモロ・アームを効かせた変態ギターのイメージが強かったが、彼はピアニストから始まった。"The King of The Piano"との称号さえ与えられている。

51年、19歳の時の最初の録音”Rocket 88”がいきなりNo.1ヒット。後に花開くロックンロールの方法論に気づいてしまっていたのかもしれない。10代のままハウリン・ウルフ、BBキング、ボビー・ブランドなどの初期の録音に参加している。ジュニア・パーカーやエルモア・ジェイムズの初録音にもアイクのピアノが欠かせなかった。53年にはプロデューサーとしてのクレジットが与えられ、ほどなくギターも弾き始めている。

アイクといえばストラトキャスターのトレモロ・アームを大胆に使った変態奏法がトレードマークというイメージだが、考えてみればストラトの発売は54年だから、その楽器としてのポテンシャルを最大限に引き出した最初期の一人なのかもしれない。音数の少ない、いわゆる「ヘタウマ」ギターと言えるだろうが、それは元々ピアニストであったことや、プロデューサーとしての裏方的な発想から出たものなのかもしれない、などと思ってみた。以前から気になっていたアイク研究に着手するきっかけをいただいた気がする。なにせ変態音楽家が気になってしまうタチなのだ。マサオさんからアイクのコンピレーションをお借りした。

レギュラー顧問の関根さんは、訃報があったばかりのフリーマン・ブラウンものをかけてくれた。マッスル・ショールズの歴史に埋もれた黒人「ゴースト」ドラマー。彼のことも、このVoicesのマッスル・ショールズ特集で好きになった。その他、潤君やマサオさんのテーマをフォローしつつその間を埋めるような選曲。リアルタイムではワイワイしちゃってあまりちゃんと聞けなかったので、録音したものを今これを書きながら聞いてます。はい。再放送可能ですので、聞きたい方がいらっしゃいましたらお申し付けくださいませ。

さて来月の「Voices Inside」は2/18(土)、Funk Up Brass Bandをライブ・ゲストに迎えてのNew Orleans特集です。その前にはカウンターDJ「Free Friday」シリーズで2/3(金)に二見潤の「潤金#6」があります。そして2/11(土)には年に一度の「SP盤SP」、ジャンル不問でSP盤だけを聞く会です。

2/11(土)「SP盤SP vol.2」
open : 18:30 / start : 19:00
no charge
Disc Jockey: 文屋章、関根雅晴(Voices Inside)、
大野正雄(Voices Inside)、阿仁敬堂

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動物ダンス・コーナーでかかっていた”The Monkey Time” 歌っているMajor Lanceはこの曲の作者であるCurtis Mayfieldと同じ高校に通っていたとか。Bruce Springsteenの2ndアルバム収録曲"The E Street Shuffle"のイントロのギター・リフにはソウルの元ネタがあるんだろうな、とずっと思っていたのですが、これだったんですね。曲の進行なども似てますが、パクリというようなレベルではありませんね。ネットで調べるとよく知られたことのようでしたが。この曲が好きだったことには、そんなシカゴ・ソウルの出汁が効いていたという理由があったわけでした。
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デビューからの7年間だけでcd4枚組!


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by barcanes | 2017-01-27 13:13 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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