引っ張られるミックス社会論

1/22(日)

数日前からエアコンが頻繁にエラー・サインを出すようになり、業者に見てもらったところ修理不可能とのこと。95年式の中古で15年使い続けてきたが、その前には中華料理屋についていたものだったらしい。この数日の寒さで一気にオーバーヒートというところだろう。さすがにもう高価な業務用エアコンを買うことはできないかもしれない。とりあえず冬の間は灯油でなんとかしのげると思うけど、夏までになんとかしないと。良いエアコン屋さんとか知っている方いらっしゃいましたらぜひご紹介ください。

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というわけで、とりあえず今までエアコンと併用してきた灯油ファンヒーターに加えて、以前使ってた石油ストーブを引っ張り出してみた。これで冬が越せるだろうかどうだろうか。まあ人が多いのが一番暖かいですけどね。

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暖かい夕方から始まったマンスリーの「アイリッシュ・セッション」は夜が冷え込み始める頃に終わり、なんとなくかけていたチーフタンズのライブ盤「An Irish Evening」(92年)。ロジャー・ダルトリーが歌っているのを聞いて主宰の椎野さんが、歌い方や節回しが完全にアイリッシュだね、と言う。ちょっと調べてみたところロンドン育ちで両親がアイリッシュかどうかなど判らないのだが、不思議なものである。30を超えてからアイリッシュ音楽に興味を持ち演奏するようになったという椎野さんが、若い頃好きでレコードを揃えていたものの一つがThe Whoだったというからだ。

椎野さんに以前いただいた段ボール2箱分のレコードの中に入っていたのは他にDexys Midnight Runnersや矢野顕子など。Dexysには言わずもがなのアイリッシュ・インフルエンスがあるし、矢野顕子も後年にチーフタンズとの共演を果たしている。もしかしたらWhoの、ダルトリーの歌唱に、どこかアイリッシュなフレイバーを感じていたのかもしれない。若い頃に好きで聞いてきた音楽のちょっとした要素に、後年になって引っ張られることもあるのだ。

その後やってきたのは、先日水曜にとあるバンドのライブ録音を依頼されていたアニキ。さっそくミックス途中の音源を持ってきてくれた。ちょうど同じ日、当店の水曜日の「カツヲスペシャル」とほぼ同じ、ベース、ドラム、エフェクターの効いたギター、そしてトロンボーンという編成で、変態的ギタリストがリーダーのインスト・バンド。奇遇過ぎる。私の方の録音と聞かせ合い、録音バトルだ。金曜のピアノやアップライト・ベースの音もお聞かせし、「完敗だなあ」と言ってアニキは帰っていった。まあ先方がどんな人たちだか判らないが、演奏者の技量の差ということになるだろう。

ついでに土曜日の「Voices」の録音も聞いた。特に50年代のブルーズやロックンロールの録音は興味深い。歌モノは歌がドカンと来て、周りの音は明らかに小さいのだが、それで十分に成立している。年代が下るにつれて楽器のソロや周りの音もよく聞こえるようになってくるわけだが、それにしたって主役である歌を頂点としたヒエラルキーと言うか、優先順位があったであろう。つまり録音やミックスとは社会論なのである。

一神教的に一点突破をかけてくるようなサウンドは、やはりアメリカのレコード音楽の強さであろう。ドラムやベースが裏方的で陰の存在と思われた時代があったのは、やはりレコードでポップ・ミュージックを聞いてきた影響なのだと思う。そうした歴史の末に、縁の下的な存在であることの不満や平等意識が、楽器をまんべんなく聞かせたいという欲求として表れる。レコード上の自由民権運動である。そこに民主主義的な解決はあり得るだろうか。

ミックス社会論の得意なところは、異質なものを同居させることが可能であることだろう。しかも美しい形での。だからありのままの姿で、というわけにはいかない。しかしたとえ混在に成功したとしても、それだけではダメらしい。グッと来なければならない。グッとくるサウンドとは一体なんで、グッと来る社会のあり方とはなんなのだろうか。ある種の刺激。新しいものと古いもの、異質さや未知のこと。過剰(豊穣)であること。永く聞き続けられるもの。自分が好きで聞いてきた音楽に、そういったミックスにまつわる美意識が表れているだろうから、そういうものに引っ張られてもいいんじゃないかと思う。


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by barcanes | 2017-01-23 22:37 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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