サウダーヂおじさんと脂の乗った戻りカツヲ

10/25(火)

「明日から仕事の人がいますけど」とメンバー紹介するってことは、これは仕事ではない?そう、ライブは仕事じゃない。遊び、とまでは言わなくともライブで食えるわけじゃない。「本業はプロデュース業ですから」とサウダーヂおじさん→サワダージョオジさん→サワダ・ジョージさんが言う。ライブは、試行で実験で修行で一発勝負で、つまりそれは真剣な遊び。集客だの印象だの、この場に及んで気にしているどうでもいい自分なんて、捨ててしまえばいいのだ。

一番にセッティングを終えたサウダーヂおじさんは、その時の気分を音にしたくてしょうがないというようにずっとベースを弾いている。そしてリハから新曲の譜面が回り、いかにも難解そうな変拍子の変態フュージョンに対する取り組みが始まる。マエストロのサディスティックな投げかけに、必死の眼差しで譜面を追いかけていく3人の楽器奏者は、その問いに応えることにマゾヒスティックな歓びを見出している。ように見えるが、それもいつものことなのだろう、その歓びは平然としている。

c0007525_03201527.jpg

前回、6月の「初カツヲスペシャル」も十分にスゴくて、マルチトラックで録音しておいたライブ音源を、そのままライブ盤にしてもいいぐらいだと思っていた。1回目がスゴいと2回目はコケたりすることはよくあるが、そんな心配をする間もなく、数ヶ月を経た「戻りカツヲスペシャル」はさらにスゴかった。ライブの素晴らしさについては、言葉にできないということで勘弁していただこう。

二言で言うならば、超絶変態ブラジリアン・フュージョン&まえかわさんのスキャットもステキです+昭和歌謡フォーク&やっぱり我らの歌姫まえかわさんの声。そして谷川俊太郎の「さようなら」でひと泣き。個人的には深めのリバーブがまえかわさんの歌にばっちりハマったのが会心のデキ。今回の録音もCDにして売っていいということなので、なんとか作業しなければならない。

c0007525_03205590.jpg

終演後、前回はあまり喋れなかったマエストロのお話を垣間聞きすることができた。おまいら感動しやす過ぎやねん、僕は音楽のグルメになってしまったから、なかなか感動できなくなってしまった。(レコードに行ってしまうのは終わってるな。あれは架空だから。)和太鼓のような、単純なことに魂込めてるようなものについ感動していまう。グルメでいうならB級グルメ、ソウルフードやな。(我々はソウルフードを目指すしかないですね。)何千円もするようなコンサートは大概カスやで。カスには「カス」って言わなきゃあかん。そのかわり、良いと思うものには良いってスゴく言うで。そんな話を聞きながら、カスかどうか、私はつい聞いてみたくなってしまった。端に座ってるアイツ、ポップスとかやってるんですけどいいソロピアノ弾くんです。次回の前座かなんかでやってもいいですか?「じゃあピアノ・バトルでもやるかい。」ラウンジ・ピアノのライブもやっているというマエストロの話を聞いているうちに、電車の時間が来てその場はお開きとなった。

少しして、やっぱり車で送ってもらうということになって戻って来たのはマエストロとピアノ弾き。じゃあラウンジっぽい感じでちょっと弾いてみてよ。よしきた、とレコードを止めてピアノのフタを開ける。心の準備ができたいたかのように、静かに、音数の少ない、そしてとどまることないピアノを弾き続けるピアノ弾き。iPadをいぢくっていたマエストロは、いつしかその画面を消していた。今日DJをやってくれていたマサオさんと私は、その光景を緊迫して見守っている。ドアの向こうで歌姫が遠慮している。「ピアニストって言ったらダダダーって弾くかと思ったら。僕のピアノと似ているね。」マエストロは、そう言ってピアノに向かう。静かなタッチの、素人目にはサティ的な、不思議な調性のピアノで応える。それは会話のようだった。そんな「ピアノ・バトル」が終わり、店に残された私とマサオさん。今日、よかったよね。

そしてこの日かけきれなかった変態フュージョン系のレコードと、この日の録音を最初から最後まで聞き直しながら、カシャーサをチビチビと飲み交わした。ライブではしっかりとは聞こえてきづらいベース・ラインが、一切のブレもなく弾かれていることに気づくのであった。

c0007525_03210850.jpg
沢田穣治さん(b)の新曲に挑む馬場孝喜(g)、沼直也(dr)、和田充弘(tro)の3氏と、それを見守るまえかわとも子さん(うた)


[PR]
by barcanes | 2016-10-26 03:16 | 日記 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://barcanes.exblog.jp/tb/26092228
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< い、痛い 平尾 >>