ファンク67年

9/21(水)

ファンクアニキとファンク研究。4枚組コンピ"Star Time"の2枚目、ジェイムズ・ブラウン67年、”Cold Sweat”前後の変遷を聞いてゆく。ブルーズ的な3コードの使い方を破壊し、定型から解放してゆくJB。次はどうせこう来るんだろうな、と良くも悪くも保守的になってしまう思考停止こそが我々の歴史意識なのだ。自動的に様式に収まってしまうようなマインドをJBは破壊し解放してゆくのである。シンプルな4度と5度のコードだけを使って。プリミティブなワンコードへの逆行と見せかけておいて、緊張感のあるブリッヂとしてのコード展開はコード進行というよりは変化、事件である。事件を起こして流れを変えてゆく。

ジョニー・オーティス楽団出身でJBのバックに参加したばかりのジミー・ノーレンのギター・カッティングが冴え渡る”Papa’s got a Brand New Bag”はまだ3コードのR&Bで、そこからニューオーリンズ風ファンキーR&Bの”Money Won't Change You”、ラテン・ブーガルーの”Bring It Up”などを経て”Cold Sweat”に至るそのリズムの変遷も非常に興味深い。

”Star Time”Disc2最後の曲”I don't want nobody to give me nothing"では、ベースのリフにSlyの”Thank You”に似たフレーズが出てくる。同じく69年。もちろん、スラップしたベースが前面に出ているFUNKの決定的な一曲である。そのSly & The Family Stoneのデビュー作が67年。私はこれを聞いたことがなかった。どんな解説でもこのアルバムはノーマークのはずだ。久しぶりの衝撃的な一枚だった。

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"Underdog"(負け犬)から始まり"Dog"で終わる。これはRufus Thomasの"Walking the dog"や"Do the Dog"のオマージュであること疑いなし。童謡的なメロディー”Are You Sleeping?"の陰鬱なイントロから始まる構成も踏襲している。STAXのファンキー・ソウルがファンク・ミュージックの幕開けを暗示している。感動的だ。

ビーチ・ボーイズの”Fun, fun, fun"を茶化したとしか思えない"Run, run, run"、"Turn me loose"はオーティスの”I can't turn you loose"をさらに高速化した感じだし、"I hate to love her"はビートルズの"And I love her"に違いない。こういうおちゃらけオマージュ精神がたまらない。

このアルバムの録音は「サージェント・ペパーズ」の半月後(半年後じゃないよ)というから、同時代的というか、聞いてすぐ作っちゃったみたいな即応力というか、67年のファンク黎明期に全く新しいもの(アルバムタイトルは"A Whole New Thing")を作っちゃった感がハンパない。なんてったってスライは早すぎた。男女白黒混成のメンバー構成のバンドという今では当然のようなことだけでも、追従する者がなかなか現れなかったのだ。

曲名だけ並べてみても"I cannot make it"とか"Bad risk"とか、アンチ・ポジティブな言葉が並び、後にFankadelicなどに繋がっていくような暗さやだらしなさを感じさせる。ダメさを認めつつ、みんながバラバラな格好をして、強烈にハメを外しながら、1つのグルーヴにまとまっていく。まさに"One nation under a groove"である。ジョージ・クリントンは宗教以上であるとクリントン信者は本に書いていたが、そこまで言わなくてもファンクは思想である。

続いて”Cosmic Slop”(73年)、”Nappy dugout”は「言っちゃったか!」とソラミミで聞こえるし、3曲目の”March To The Witch's Castle”は吹雪吹きつける「みちのく」ファンク。しかし日本人はそこをたった一人で行進してしまうので、ジョージ山本クリントンはみちのくひとり旅。そしてファンクなアニキは、今季初めて窓も扉も締め切った肌寒い夜、小雨降る闇夜へとひとり消えて行った。一人で。


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by barcanes | 2016-09-23 18:31 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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