irie timesの作ってくれた時間

9/4(日)

もう何年も前だろうけど、いつも楽器を持って飲みに来てくれる連中がいて、レゲエのしかもルーツ・レゲエのバンドをやってるって言うから、いつかライブやってよ、なんて言ってたんだけど、メンバーが遠くに引っ越してしまったりしてなかなか練習できないんですーって聞いていた。子供ができたメンバーもいて、時間を都合するのが大変なのはよく分かるけど、それでも月に一回ぐらい集まって練習して、去年の今頃、ようやくライブを実現させてくれた。対バンやDJを呼んでイベントに仕立て、仲間をたくさん集めてくれた。

irie timesという4人組レゲエバンドはその後も月に一回ぐらい集まっては練習し、帰りにCane'sに寄ってくれたり、あるいはそうじゃなくても飲みに来てくれたりして、その間にレコーディングをしてCDを作った。そうして1年後にまたイベントを打ってくれた。こうしてできた時間がirie timesの時間、「IRIE TIME」vol.2だ。

ニコニコドラムのシバタ君は顔で叩く。キース・ムーンみたいだ。クリックを聞いてリズム・キープを心がけるという芸当を見せてくれて、いいグルーヴだった。ヤッすい「グネコ」ベースを愛着を持って弾き続けている静川君は、もっと良い楽器を使わないと勿体ないよ、というような良いタッチをしている。物腰柔らかくしかも押しの強さも併せ持つ性格の良さが楽器に出ている。ボーカルの力丸君は強面の顔に似合わない、かわいいハイトーンの声で、見事な即興を交えながら歌う。いやきっと内面もかわいいヤツなのだ。ギターのヒッシー君は喋らなかったが実は高熱を押しての参加とのこと。コーラスの効いた一貫したサウンドで徹底していて好感が持てた。

対バンは、まずはaikoのカバー・バンド「mix juice」。aiko好きでDJでもaikoばかりかけていた静川君がベースを弾いた。あまりにもベースラインが見事なのでビックリしたのだが、彼はaikoのベーシストのファンでもあるそうだ。もうひとつの対バンは「月バンド」。Cane'sのすぐ近所に住んでいるというボーカルの女の子の吐息が、サウンドチェックでヘッドホン越しに声が直で届いてくると、好きになってしまいそう。女性ボーカルを好きになってしまう裏方の人の気持ちが分かる気がする。

両バンドとも今時のポップス・ロックというのか、難しいことをやろうとする。彼ら彼女らに限らず、こういう場所のサイズとサウンドのサイズが合っていない気がする。ポップスとは不自然なバランスを取り込み、サイズ感をうまく調整することで成立するような音楽なのだ。別に彼ら彼女らのせいではない。彼ら彼女らが気づいたときには、もう音楽はそんなリアルなサイズ感を持ったものではなく、音楽は勝手に複雑で難しいものになっていたのだ。

しかしそれは我らの世代も同じで、社会は我々が産み落とされた時には既に複雑で難しくなっていたのに、よりシンプルな時代に生きてきたオッサンたちにああじゃないこうじゃない言われてしまうのだ。だから我々はよりシンプルなものを想像し、そして考察する必要がある。不自然なサイズ感を補正するような工夫が必要だ。簡単に言えば、言われたとおりに、見本のとおりにやろうとしないこと…。やるならもっと練習しないと…。

その点、3ピースのレゲエ・バンドは至極シンプルだ。ニコニコドラムと物腰ベースで音楽はリアルに成立している。そんなドラムとベースで成立してしまう音楽が私は好きだし、店に何度も足を運んでイベントを企画し、対バンを呼んで受付もDJも自分たちでやって、気を遣って最後まで残ってはお酒をたくさん飲んでくれて、そんなリアルな気持ちの伝わる彼らの音を、P.A.としては対バンのバンドたちとは圧倒的に違う、いい音にしてあげたかった。彼らのレゲエ・サウンドをもっといい感じに出したかった。それが今後の目標だ。

静川君は”Catch A Fire”のジャマイカ・バージョンを繰り返し聞いたという。ドラムとベースのバレット兄弟。このサウンドが目標だと。いいね。そんなこんなで明け方まで話した。こんな時間がIRIE TIMEだ。またやろうね。

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この日は全く写真を撮るヒマもなかった。代わりに、なぜかCane'sには届かなかったフライヤー。

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デラックス・エディションの”Catch A Fire”はジャマイカ版とオリジナルのリリース版と2バージョン。両者には様々な違いがあるが、特にベースとドラムの音に注目しよう。オリジナルUKバージョンは、クラビネットやギターソロなどが足されている他にも、ベースの低音により低い音域が足されているのが分かる。ドラムの音色も手が加わっている感じがする。

いわゆるボブ・マーリーのバンドの音、あるいはレゲエの音とは、もしかしたらこのようにして加工されてできたものから発展したのかもしれない。ジャマイカ・バージョンはドラムもベースも低音が強調されていなくて、控えめで生っぽい。確かにそのままでは素朴すぎて、歴史的な作品となるような「商品」とはならなかったかもしれない。しかしそんな素朴なサウンドを目指そうという心意気には、どうしたって共感を覚えてしまう。

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IRIE TIMESのCDは5曲入り。僕はレゲエ関係の人たちがよく使う「リスペクト」って言葉があまり好きじゃないけど、力丸君のリスペクトは許せる。だって母ちゃんにリスペクトしてるからね。


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by barcanes | 2016-09-08 03:49 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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