北海道人の気質

8/15(月)

12時半からの告別式にギリギリ間に合った。祖父の葬儀の時以来6年ぶりに会う母方の親戚たち。脚の悪い長姉は来られず、でも新メンバーも増えた。7つ上の従兄弟の兄ちゃんにはお嫁さんが、7つ下の従兄弟にもお嫁さんと二人の子供(従兄弟の子供たちと私の親戚関係はなんと呼ぶのだろう。従甥(じゅうせい)従姪(じゅうてつ)というのか?)が、そして私にも妻子ができたのはやはり祖父の没後である。

3歳の従甥はワンパクに走り回り、話題を作ってくれる。私が10歳の頃、札幌に遊びに行った時にその父である従兄弟はちょうど3歳ぐらいだった。ほとんどそれっきり、祖父の葬儀まで会うことがなかったから、もしかしたらもうこの先、従兄弟たちに会うこともないかもしれない。

告別式と合わせて初七日法要と、2度のお経とお焼香を終え、棺桶に生花を敷き詰めた。祖母の遺影は髪が真っ白だが還暦頃の写真で若々しく、最後のお別れという気がしなかった。というより、祖母のことはちっとも知らないままだったのだと思う。知ろうともしなかったかもしれないし、祖母たちもまた知らせようとしなかった。

そもそも知るということとは何なのか。どこか私にはそのような非情かつ冷淡な、無常なものが流れていて、それはただ悲しまないためにあるような気もする。悲しいことが多すぎて、悲しむことを避けずには生きながらえてこれなかったような血脈を感じたりする。死とは悲しむべきものでないのなら、生もまた悲しむためにあるわけではなく、知ることが悲しみを生むのであれば、悲しみを超えてゆくようなものを知るべきである。知ることを放棄するわけではない。ただ、悲しみを避けようとすることによって諦念というものが生まれるのかもしれない。

出棺して焼き場へ。母は祖父の時ほど泣かなかった。むしろ骨になるのを待つ間、これでもう呪って出てきたりしないよね、なんて冗談を言ったりして、肩の荷が下りたようだった。母がこの10年、その前は叔母がハタチそこそこで嫁に来てから30年を共に過ごした。理屈で考える叔母と感情で動く祖母と、最初から最後まで話が噛み合わなかったそうだ。母がまだ独身の頃には従兄弟の兄ちゃんがちょうど3歳ぐらいで、今はしゃいでいる従甥のように走り回っていて、そういう年月がたった1時間半の間に流れて、あっという間に祖母は軽石のような骨くずと変化した。薬学系の従兄弟が骨の位置を説明してくれて、喉仏が立派な両腕でがっしりと合掌して、白い壺に納まった。

斎場に戻って会食となり、「ゲン君と話したいなあ」と言われて叔父と叔母に挟まれて座った。叔父は芸大を目指したが果たせず、しかし夫婦で小さな会社を興して、ベンチャーの生き残りと言いつつ創業40年にもなるのに、祖父には死ぬまで心配されたそうだ。大きな会社に呼ばれて「自分で見積もりを出せない人とは話せない」と言い放ったというから、そのような独立自尊というか、ぶっきらぼうというか、そんな気質は自分だけではないのだと気も晴れる思いだった。自分だけが間違ってるのかと思っていたけど、それはまた北海道人の気質でもあると父も言うので、それはそれでいいのだろう。こっちの人たちがしがらみを重んじるようなところがあると、父もまた感じて生きてきたのだろう。

自営業が不安定といえば不安定だけど、40過ぎて失業するかもしれない時代なんだから誰だって不安定だよ。自分の仕事の説明ができると、自分が何をやっているか分かるようなことがあるよ。などと、なんとはなしにメッセージを送ってくれた。そう、自分が何をやっているのか、私は未だによく分かっていないのだ。叔父も、あるいは父も、問い詰めたりはしないが気にはしてくれているのだろう。私も叔父や父がどんな仕事をしてきたか、よく知らない。知ることも知らせることもできない。それもまた、北海道人の気質ということにしておこう。我々の先祖について確実に知っているのはただ開拓したということ、それだけだ。

どうしてだかよく分からないけど叔母が祖父の遺品の金縁メガネを持ってきていて、それを頂くことになった。時代遅れだけど一回りしてカッコいい気がする。カーティス・メイフィールドみたいだ。カーティスのはもうちょっと丸っこいけど。メガネ屋に持って行ってレンズを入れ替えられるか聞いてみようと思う。

ちょうど店を開ける時間となり、横浜高校は履正社に2度の降雨中断後にナイターで負け、カープはベイに1点差勝ち。女子マラソンは20キロ過ぎで福士加代子ら日本勢が脱落。静かな夜で、マラソン終わったら帰ろっかなーと思ったら女性陣が来てくれた。錦織圭君の銅メダルマッチを見てるうちに、気づいたらマドンナがうとうとしていた。

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祖母は九州の家系らしい。らしいというのは、母もよく知らないということ。単純に計算しても祖母の世代は開拓3世とか4世とかだから、シンプルなわけがない。

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祖父の形見で自撮りしてみました。


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by barcanes | 2016-08-19 03:36 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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