聞くことの(ちょっとした)冒険

7/12(火)

先日の大DJイベントに出演してくれたDJのアニキと、イベントの反省点から話は若い頃からの音楽の興味の変遷などへ。30分一本勝負のDJでは分からないような、その人それぞれのいろいろな音楽を聞きたい。それは自ずとジャンルレスな、オール・ジャンルなものになってゆくだろう。

盤それぞれの音質のバラつきはもとより、バラついた音楽を、音楽のバラつきを、私は20代半ばの頃に聞き漁っていたワールド・ミュージック的な聞き方で、全てを包括して聞いてしまえばよいのだと気づいたのだと思う。もちろん、それを基準にして、それぞれのジャンルの、ポップスのブルーズのソウルの、それぞれのスタイルの基盤の中でのバラツキとして楽しむこともできる。そういうのは何て言うの、数学的な集合論みたいなもの?よく分からないで言ってみましたけど。

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田火田、ロケデリと、魔のトライアングルを回ってきたアニキが先日の「カツヲスペシャル」のギターの馬場さんのインタヴュー(2007年)を読んだら、彼は宇宙物理学をやっていたそうだと。アニキも物理学科出身の数学研究者で。好きなギタリストとしてジョン・マクラフリンを挙げていたよ、と言うから、まずはマハヴィシュヌ・オーケストラの1stを。ここでは「マクロウリン」となっております。邦題「内に秘めた炎」71年。

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銭湯上がりのミュージシャン兄貴と一緒に、そこから音楽の旅へ。マクラフリンと言えば、私はやはりシャクティ。77年の2ndはいつでも私にとっての名作です。インドとアイリッシュは単旋律で攻めてもハモらない。面白いですね。日本の民謡もハモりませんね。そんな話からだったか、そこからはよく分からないのですが、久保田麻琴の阿波踊り爆音録音「ぞめき」(壱)。ボーナス・トラックでのスライド・ギターが入るリミックスものはもっと聞きたいところですが、このシリーズはその後5作も出てるそうです。知らなかった。
http://www.ahora-tyo.com/html/zomeki/
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金物の感じがガムランを想起させましたので、ミズキちゃんとマリカちゃんという奄美民謡界の若手アイドルが何も知らずに共演させられちゃった感満載の、たぶん誰にも見向きもされなかってであろう意欲作。プロデューサー森田純一氏のオヤジ下心が全開の、ガムラン共演盤。琉球宮廷音楽のガムランぽい音の入ったSP盤があるそうで、そういう海民的なつながりを意識してのことなのでしょう。「シマウタブンブン」2002年録音。
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奄美民謡の最もディープなものとして(たぶん)有名な里国隆、盲目の琴弾き語り。戦前のSP盤ブルースに目がないアニキは高橋竹山などの三味線ブルース(もはやブルースと呼んで差し支えないであろう)にも傾倒しており、奄美民謡にも新たに目が開かれたご様子。このCDのスペシャル・サンクスには、先ほどの森田純一、メタ・カンパニー、ブルース・インターアクションズの他、小沢昭一、平岡正明など濃い名前が連ねられている。1977、78年の録音が中心。
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それから築地俊造、武下和平などの奄美の大御所、沖縄といえば嘉手苅林昌さん、などなど並べて、行き着くは元ちとせさん15歳のセントラル楽器録音。Deep Forestにサンプリングされた「糸繰り節」やデビュー前に洋楽をカバーさせられたミニアルバムなどで、今夜の旅もひとくくり。
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秋ぐらいにCane'sでライブやりましょう!という話になったのでベイビー・クリシュナ・ラバーズ・バンド、2009年作。それからまたマクラフリンに戻って、ラリー・ヤングとトニー・ウィリアムスのLIFE TIME、69年の”Emergency!”、ここまでくると最後はポスポスの名作「現代の冒険」を聞きたくなる。
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そしてアニキが今日本屋で買ったという服部文祥の本を貸してくれた。2015年刊の「ツンドラ・サバイバル」。アニキは文祥さんと学生時代にクライミング・パートナーだったそうで、ヒマラヤ登山などを経て「サバイバル登山」というオリジナル・スタイルの冒険を見出したのはもちろんその後のこと。未踏ルートやエクストリームの登山がやり尽くされて冒険の隙間を失った現代に、どのように自分なりの冒険を見つけていくのか。
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explore(探検する)とは「外にー泣きわめく」が語源だそうである。泣きわめいた記録がレコードだとすれば、それが外にいる誰かに聞かれることも、ひとつの冒険なのかもしれない。そしてそれらを聞き取ることもまた、我々のできる、ひとつの冒険のあり方かもしれない。なんつって。今夜は遭難。


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by barcanes | 2016-07-14 02:18 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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