シミったれの一夜

7/10(日)

貸切のフラメンコのイベント。お店が壊されそうな音がして見ていられなかった。格闘家のようなガタイの男性が踏み鳴らすタップが地響きのように店内の全てを揺らし、自分の身内が痛めつけられているのを目の当たりにするのは胸が痛んだ。私はこの店と一緒に10数年過ごしてきたのだ。それは耐え難かった。

人のよさそうな女性に頼まれて安請け合いしてしまったのだ。いつもの私のパターンである。たくさんお客さんが来るからとお酒を多めに仕入れてしまい、待たせないように簡単に出せるメニューを準備した。チャージが安くないのでドリンクをいつもより安めの価格にした。フードがないので持ち込みもいいですよと言ったら、コンビニの包みとお菓子を広げてみんなジンジャーエールを飲んでいた。全てが裏目に出てしまった。

演目が始まって、私はその場にいられず外に出た。外には店を解体してるような音が鳴り響いていた。そのまま演目が終わるまで中に入れなかった。リハを見ていた様子では、ギターの方も歌の方も、男性2名女性2名のダンサーの方も、皆さんお上手のようだった。しかし、そこまで憎しみや怨念をステップに込めるものかと、私は甘く見ていたようだ。確かにフラメンコとはそのようなものかもしれない。フラメンコが悪いわけでも嫌いなわけでもない。ただ店の構造上の問題である。今後はもうフラメンコのイベントはお断りさせてもらうことにした。貸切イベントも、もうこのようなことにならないようにしたい。

片付けて店を元に戻し、しばらく立ち直れなかった。店を閉めてしまおうかと思ったが、酒屋の集金が来る約束だったから帰れなかった。ようやく気を取り直して、先ほど抜け出した時にハードオフで買った108円のVHSでも見ようかと配線をつないで、元気が出そうなDave Edmundsの海賊ビデオに変えた。ティアドロップのさらに垂れ目のグラサンを着けた86ー87年のニュー・イヤー・ライブ、Chuck Berryバージョンの”Run Rudolph Run”でカウントダウンが始まった頃、いつものカープ嬢が現れて、偶然にもほとんど同時に日付が変わった。
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それからぞろぞろと馴染みのメンバーがカウンターを埋めて、店を開けておいてよかった。僕らのマドンナは、わざわざ渋谷まで出かけて初めてレコード屋に入り、私の持ってなさそうなものを探して、「ブレッド&バター」の3rdアルバムを選んでくれた。先日レコード屋に行ったと聞いて、「何買ったの?」と聞いても「内緒です」と教えてくれなかったのはそれだったのだ。毎年のお店の周年と店主の誕生日に欠かさずレコードをプレゼントしてくれるFアニキは、セヴリン・ブラウンの2nd。南口の名店店主はキャンドルに火を灯しながら登場して「五橋」の生酒と鯖寿しを、同い年のタコ店主は健康に気をつけてと「足裏いてーよ」をプレゼントしてくれた。
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ディラン30周年の録画ビデオの後はいただいたレコードを聞き、その後またVHSに戻り、オールマンズの91年のライブ。ウォーレン・ヘインズが入ったばかりでディッキーはまだ中心にいて元気で、パーカッションにマーク・キニョネスが入ってトリプル・リズムになった、この頃のオールマンズは良かったよねえ、なんて最後まで見て朝を迎えた。
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「男は43になってから」というセリフが何かの話にあるそうで、年配好きのカープ嬢は励ましてくれたが、43はシミったれの、しみったれた出来事を払拭してくれるような一年の始まりになった。みんながそうしてくれて、嬉しかった。


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by barcanes | 2016-07-13 23:11 | 日記 | Trackback | Comments(0)
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