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みんなもやもや/我々のメディア

今日は早めに集まって、こないだ撮ったCane'sのPVのBGMを録音。Dr.Johnのある曲をイメージしていたのだが、そんなリクエストで我らのピアノ・マエストロに1分40秒の小品をソロで弾いてもらった。酒場の雰囲気でオフ・マイクにして3テイク。ばっちり決まった。

ちょうど終わったと同時に、今度やるチャリティー・イベントの主催者が現れた。彼は全てに怒っていた。同席していた普段は本音を隠さないアニキたちも「聞いてて気持ちいいね」というぐらいのすっきりした持論を展開した。

オリンピックなんて承知してる場合じゃねえだろ。東京の空気をわざわざ吸わせてえのか。海は垂れ流しだぞ。先にやるべきことがあるだろうによ。この国はどうなっちゃてるんだい。おかしいだろ。俺は文句言うぐらいしかできないけどよ、分かんねえんだよ。え、ゲンサン。どうしたらいいのか教えてくれよ。

何かがおかしいと、みんな思っている。何かが変わらなきゃ、何かを変えなきゃいけない。何かを変えるってことはビールを低カロリーの第3ビールに変えるとか、そういうことじゃないだろう。止めればいいじゃないか。変えるってことは習慣を壊すことじゃないのか。なにも壊さずに安い、あるいは高価な代替物でごまかしてきたんじゃないのか。

いや、壊すことは簡単だよ。自称テロリストのアニキが言う。俺は壊し方は知っている。でもな、壊した後の着地点ってやつが俺には分かんないんだよ。アラブの国なんかもそうだろ。俺は壊したくてウズウズしてるんだよ。でもその先が見えないからやらないだけさ。

いったんは収まったそんな話も、深夜にはまた別のオヤジが、急にそんな話を始めるから、今日はそんな日だ。そんな夜だ。みんなもやもやしているのだ。いい年したオッサンたちが酒飲み話にそんな話だ。

酒場に政治談義はよくないと言われるが、そんなことはない。翻訳者がいればよい。酒が入ればみな違う言葉を喋り始めるから、それをいちいち翻訳する者がいればいいのである。酒飲みは決して、自分のことを言いたいだけではなく、ホントは他人の意見を聞きたいのだ。

おそらくそういう場所がないのだ。家庭や職場、地縁や同業の集まりでは言えないようなことを言い、そして赤の他人の意見に耳を傾けたい。テレビも紙誌も、インターネットだって我々のメディアではなく、誰かに利用されている。そんな中で酒場はむしろ、小さいけれども確かに実感のある、我々のメディアであるのだろう。

そう考えれば、ライブもひとつのメディアである。生の音楽は確実に、誰かの意見を聞き他の誰かの反応を感じることのできる、我々の手の中にあるメディアである。旅をして回っている人は、旅の各地の話をすることもできる。

人が集まり、そして一方通行でないメディアを、みなさんはどれくらいお持ちだろうか。
by barcanes | 2013-08-26 00:56 | 日記 | Comments(0)