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「孤独を愛する者たち」の夜

前半は宮井さんと間瀬さんのおしゃべりを挟みながら一曲ずつレコードを聞くという趣向。二見さんがターンテーブル担当。ポケットに手を突っ込んでるジャケットのレコードを思わず買ってしまうという、通称「ポケジャケ」が面白かった。ちょっと肌寒くなる秋を感じさせる、生まれたときから秋が好きという間瀬さんならではの目の付けどころである。今度、片手ポケと両手ポケに分けてまた特集してもらいたい。対して宮井さんは「髭ジャケ」だ。素朴で味わい深く、ジャケ買いしてもまず失敗することはないが、いかんせん素朴すぎるきらいがあるという。シンガーソングライターのレコードなんて、興味のない人からすれば全部似たようなものだろうが、ちょっとずつの違いが味わいであり、個性であり楽しみである。それが人間味というものだろう。

こういうものは時代も流行も関係ないはずだが、ハデな時代には表からは見えにくくなってしまう。それでもこの人たちは確実にいる。流行のサウンドの賞味期限とは関係なく、そしていつでも聞けるものでもないが、ある季節、ある感情、ある出来事、なにかの際に思い出され、変わらないものがあることに気づき、またあるいは自分が変わった分だけ違うように聞こえ、そうして自分の人生に何度も繰り返し現れ、寄り添う宝物になる。私もそのようなレコード(CDではなく)を持っていたいと思った。

孤独とは寂しいものではない。味わったり楽しんだり、そして時に単調に味気なくなってしまう生活を、変わり映えのない同じような日常を、ちょっとずつ違う一日、他とは違うひとときひとときと気づかせてくれるのだ。

「シンガーソングライターの夜」とは、大げさに言えば、人といるのが嫌いではないが孤独を愛する人たちによる、人と人が集うことに思いを巡らす一夜であった。

後半は、二人によるポエトリーを交互に挟み、初秋、中秋、晩秋と音楽を連ねてゆく流れだった。前半はざわざわしたなかで和やかに進んでいったが、後半は静かに耳を傾ける、ちょっとひんやりとした、緩やかに張りつめた空気が心地よかった。二人の朗読の言葉もしっかり耳に入ってきて、すばらしい時間だった。内容や表現や、人がどう受け取るかはともかく、このような時間を送ることができることが素晴らしいのであって、こういうイベントはCane'sでしかできないね、なんて言ってくれることはこの上なく嬉しいことである。

この模様はUstreamの過去の動画で見られます。少し途切れ途切れになって順番が分かりにくいですが、聞いてみてください。音はいいですよ。ただ映像は固定カメラなので、お店の雰囲気が分からないのが今後の課題ですね。
http://ustre.am/noM0

Sandfish Records 宮井さんのブログ
当日宮井さんが読んだポエトリーその1
当日宮井さんが読んだポエトリーその2
Commented by kazmax at 2010-11-08 22:26 x
ぶちぶちきれちゃってすみません。。。最後の方は一度PCぶっ飛んだりしてます。まだまだ課題山積であります。~放送部~
by barcanes | 2010-11-06 21:40 | 日記 | Comments(1)